出版社内容情報
アナール学派で脚光を浴びたフランスの服飾史研究のエッセンス7篇を紹介する。中世の写本挿絵、時祷書などの図像、財産目録などの文書を拠り所に、*誕生から子ども期、青年期、壮年期への服装の変化を追い*農民、職人が何を着たか*宮廷、都市、農村での衣生活の違い*布団、敷布など布製品の使用状況の分析が展開される。他に*青から黒への色彩の移行を染色技術・感性・費用の相互関係で論じ*「トリスタン物語」を衣を鍵に読みとき*教会と世俗を結ぶ男と女のエピソード(ズボンをめぐる争い)を論じるなど、中世世界が息づいてくる論集。
内容説明
子どもは何を着たか?働く人の服装は?下着・寝具の状況は?宮廷と都市、男と女、青と黒など衣をめぐる規範と想像力とは?ものから伝承・文学の地平まで、衣を通して中世世界が息づくアナール学派の論集。
目次
1 子ども―巻き紐から衣服へ:中世の子ども服(13‐15世紀)(ダニエル・アレクサンドル‐ビドン)
2 生活―生活の白布・身体の白布:ブルゴーニュ地方の財産目録から(フランソワーズ・ピポニエ)
3 労働―中世の図像からみた仕事着の誕生(ペリーヌ・マーヌ)
4 町と城―都市の布と宮廷の布(フランソワーズ・ピポニエ)
5 色彩―青から黒へ:中世末期の色彩倫理と染色(ミシェル・パストゥロー)
6 男と女―“ズボンをめぐる争い”:ある世俗的主題の文学と図像のヴァリエーション(13‐16世紀)(ピエール・ビュロー)
7 文学的想像力―ベルールの『トリスタン物語』における衣服の形象価値(フランソワ・リゴロ)