出版社内容情報
19世紀末以降のアメリカ文学に女性がどのように描かれてきたかを検証することによって、この100年の女性の歩みを浮彫りにする。女性が人間としての自己実現を達成しようとした時、社会から異端視された時代があった。不条理と思われる社会的家庭的拘束、伝統の呪縛を女性はどのように感じ、悩み、戦い、敗れたか。苦しみの中で人生や人間の真実について考えぬいた女性像をとりあげる。
内容説明
悩み、戦い、多くは敗れ、そして知る真実と情感あふれる世界。女性たちの歩みを共感をこめて辿るアメリカ文学の100年。
目次
1 因習からの脱出―19世紀末から20世紀初頭の女性たち(百年前の異端者―クレイン、ギルマン、ショパンの描く女性たち;自我の飛翔を求めて―ジェイムズ『ある婦人の肖像』;慣習の彼方へ―ウォートン『歓楽の家』『無垢の時代』『夏』 ほか)
2 マイノリティーの声―黒人女性とアジア系女性(語る主体としての目覚め―ハーストン『彼らの目は神を見ていた』;ブルース、このかくも美しく、悲しい歌―ウィルソン『マ・レイニーのブラック・ボトム』;母のキッチンを探して―タン『ジョイ・ラック・クラブ』)
3 新しい生/性を求めて―「新しい女性の創造」と男性作家の模索(ホワイト・トラッシュの人間性回復―アリソン『カロライナの父なし子』;姉妹たちの刻む時―ブラウン『シックス・オブ・ワン』;創造と自己破壊―ヘミングウェイ『エデンの園』 ほか)