出版社内容情報
縄文文化は、海によって閉ざされた日本列島のなかの特殊な文化ではなく、東アジアの東北部から極東地域の定着的な狩猟採集民の文化のひとつということができます。その中で、海に囲まれた日本列島ならではの多様な地理的環境のなかで成立した独自性の強い文化ですが、その特徴を最も典型的にあらわしているのが、北海道・北東北の縄文文化です。
世界から見て、縄文とは何か? 日本列島という枠をとりはずして、縄文文化の特色を明らかにしていきます。
序 世界から見た北の縄文 (高田和徳)
世界遺産で何が求められているのか (鈴木地平)
世界から見た縄文文化 (羽生淳子)
東北アジアから見た縄文文化 (大貫静夫)
先史時代の暴力と戦争 (松本直子)
文化人類学者が語る御所野遺跡の価値と魅力 (ジョン・アートル)
御所野縄文博物館[ゴショノジョウモンハクブツカン]
編集
内容説明
縄文文化は、海によって閉ざされた日本列島のなかの特殊な文化ではなく、東アジアの東北部から極東地域の定着的な狩猟採集民の文化のひとつということができます。その中で、海に囲まれた日本列島ならではの多様な地理的環境のなかで成立した独自性の強い文化ですが、その特徴を最もよくあらわしているのが、北海道と北東北の縄文遺跡群です。
目次
序 世界から見た北の縄文文化
世界遺産で何が求められているのか
世界から見た縄文文化
東北アジアから見た縄文文化
先史時代の暴力と戦争
文化人類学者が語る御所野遺跡の価値と魅力
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちゃんondrums
20
北海道・北東北の縄文遺跡群が世界遺産の候補になった時点の講演をまとめた本。出身県の有名環状列石には訪れたことがある。当時はムー的な意味を期待していたものだ。本書は当然学術的なので、ムー的内容は皆無。笑 「先史時代の暴力と戦争」が面白かった。海外の研究者による「(人間は)戦争状態が当たり前にあることで人のために自分を犠牲にするような性質が進化したのではないか」という説にうならされた。最終章の、現在復元されている遺跡は、日本に残る物事から想像して作り上げたに過ぎないという指摘には納得せざるを得ない。2023/01/22
mahiro
19
御所野遺跡博物館での何人かの講演を一冊の本にまとめた物。世界文化遺産に認定されるにはどういう道のりがあるか、世界の視点から見たら日本の縄文文化はどういう特色があるかなど、わかりやすく読める。縄文時代に戦争的人々の殺傷はあったかを遺骨の調査から説明した章は興味深かった、三内丸山遺跡などに比べて御所野遺跡についてはあまり知らなかったので読んで良かった。2020/12/06
ぽんくまそ
11
縄文を世界中の採集民族文化と比較するなど、みちのくの小さな遺跡博物館が催した講演の要約が五人分収められている。読むとカリフォルニアやボリビアの先住民などが身近に感ぜられる。「狩猟採集民に戦争はないのか?」という岡山大学の松本直子教授の研究は人類にとって重要だろう。世界遺産登録を目指す17個の遺跡のうち、行ったことがあるのは8個だ。残念なことにその中に御所野遺跡はない。行きたい。見たい。2020/08/24
いくら丼
10
御所野遺跡のお土産その3……だったよね? 多分。講演のアーカイブ的なのだけど、複数の講演記録からテーマに沿って再構成したものらしく、内容ももちろん、講演者の経歴やルーツも含めて興味深い。日本史とか日本の研究って、対象が近い分、狭い視野に陥りやすい印象があるから、世界からの視点で見る試みや視点は楽しいな。他の地域や遺跡との比較も多面的で面白い。復元建物は、どこまで信用して良いかわからず、正直捉え方に困ることが多いけど、御所野の土屋根は実験的で好きだ。あれってそこまでレアだったんだな……。誠実性を感じる。2023/08/11
akamurasaki
4
世界遺産登録へ向けて、まずは地元の理解を得るためにと開催されているフォーラムでの講演を書籍化されたもののようです。縄文遺跡に関する最新の研究を専門家がわかりやすく噛み砕いて紹介しているので、とてもわかりやすかったです。縄文時代の研究といっても、様々な角度からの見方があって面白かった。世界遺産がらみということもあってか、海外の視点からの説明も多くて興味深かったです。2019/04/23