正義・家族・法の構造変換―リベラル・フェミニズムの再定位

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  • サイズ B6判/ページ数 257,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784326652846
  • NDC分類 321.1
  • Cコード C3036

出版社内容情報

フェミニズム論、正義論、家族論という三つの問題圏に架橋し、その議論の背後にひそんでいた可能性と問題点を明らかにする。三つの問題圏に対する深い理解と明確な問題意識に貫かれて、フェミニズムとリベラリズムの革新をはかった意欲作。性別役割分業への批判と家族観の問いなおし、家族の意義の再定義を論じつつ、公私の境界を非家庭/家庭の間にではなく個人のプライバシーに定位する。リベラリズムの意義をフェミニズムに接合し変容させる。

解説/井上達夫・川崎修・斎藤純一・D.フット

類書:
江原由美子編 『フェミニズムとリベラリズム』


第1部
Ⅰ リベラルフェミニズムの再定位
  ──家族論を中心に──

第一章 リベラル・フェミニズムの再定位
第1節 複数のフェミニズムスからのリベラル・フェミニズム批判
第2節 フェミニズムのアポリア
第3節 リベラル・フェミニズムの基本的理念

Ⅱ 正議論における家族の位置
  ──リベラル・フェミニズムの再定位に向けて──

第一章 公私二元論再考
    ──正議論の主題としての家族──
第1節 第二波フェミニズムによる近代的公私二元論批判
第2節 公私区分の再定位

第二章 性別役割分業の解消と正義の諸領域
第1節 正義と性別役割分業
第2節 正義の諸領域

第三章 家族への契約アプローチ
第1節 家族関係の法的な捉え方
    ──ミノウとシャンリーの見解の検討──
第2節 契約アプローチ再考
おわりに
──リベラル・フェミニズムの再定位に向けて──

第2部

Ⅲ 「親密圏」と正義感覚
1 問題の所在
2 正義の理念と家族
3 対外的レレヴァンスと対内的レレヴァンス
4 家族と正義感覚
5 おわりに

Ⅳ 日本型「司法積極主義」と現状中立性
  ──逸失利益の男女間格差の問題を素材として──
1 はじめに
2 交通事故紛争の解決と裁判所
3 未就労者の逸失利益の算定における男女間格差の問題
4 現状中立性(status quo neutrality)
5 あり得べき正当化
6 結論

第3部 

1 フェミニズムとリベラリズムの革新……川崎 修
2 <「親密圏」と正義感覚>について……齋藤 純一
3 経験、多様性、そして法……ダニエル・H・フット

解説 野崎綾子──人と作品……井上 達夫
あとがき

初出一覧
参考文献
索引

内容説明

フェミニズムをまともに語り直すために。法を社会的差別の隠蔽装置とする短絡を戒め、法の役割を真剣に考える。安逸と独断のまどろみを衝く、法哲学の鋭鋒。

目次

第1部(リベラルフェミニズムの再定位―家族論を中心に;正義論における家族の位置―リベラル・フェミニズムの再定位に向けて)
第2部(「親密圏」と正義感覚;日本型「司法積極主義」と現状中立性―逸失利益の男女間格差の問題を素材として)
第3部(フェミニズムとリベラリズムの革新;“「親密圏」と正義感覚”について;経験、多様性、そして法)

著者等紹介

野崎綾子[ノザキアヤコ]
1971年岡山県に生まれる、2003年没。1993年東京大学法学部卒業、司法研修所入所。1995年弁護士登録(第二東京弁護士会)。1998年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程入学。2000年東京大学大学院法学政治学研究科助手就任
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感想・レビュー

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Bevel

2
かなり面白かった。リベラルとは、『リーン・イン』とかではなくて、ロールズ的という意味。既存のフェミニズムがどちらかというとアウトローに向かいがちだけど、正義の水準で女性と家族を考えるのは大事よねというスタンス。フレイザーの「普遍的ケア提供者モデル」から男性の立ち位置を変化させる話や、契約としての家族の可能性は今でこそ広まっているけどこれを2000年に前後やっているのは恐ろしい(家族内での正義感覚の話は今でも斬新に響いた…)。健全な人文コミュニティ感が透けるところもよい感じ。2023/05/16

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