出版社内容情報
フェミニズム論、正義論、家族論という三つの問題圏に架橋し、その議論の背後にひそんでいた可能性と問題点を明らかにする。三つの問題圏に対する深い理解と明確な問題意識に貫かれて、フェミニズムとリベラリズムの革新をはかった意欲作。性別役割分業への批判と家族観の問いなおし、家族の意義の再定義を論じつつ、公私の境界を非家庭/家庭の間にではなく個人のプライバシーに定位する。リベラリズムの意義をフェミニズムに接合し変容させる。
解説/井上達夫・川崎修・斎藤純一・D.フット
類書:
江原由美子編 『フェミニズムとリベラリズム』
第1部
Ⅰ リベラルフェミニズムの再定位
──家族論を中心に──
序
第一章 リベラル・フェミニズムの再定位
第1節 複数のフェミニズムスからのリベラル・フェミニズム批判
第2節 フェミニズムのアポリア
第3節 リベラル・フェミニズムの基本的理念
Ⅱ 正議論における家族の位置
──リベラル・フェミニズムの再定位に向けて──
序
第一章 公私二元論再考
──正議論の主題としての家族──
第1節 第二波フェミニズムによる近代的公私二元論批判
第2節 公私区分の再定位
第二章 性別役割分業の解消と正義の諸領域
第1節 正義と性別役割分業
第2節 正義の諸領域
第三章 家族への契約アプローチ
第1節 家族関係の法的な捉え方
──ミノウとシャンリーの見解の検討──
第2節 契約アプローチ再考
おわりに
──リベラル・フェミニズムの再定位に向けて──
第2部
Ⅲ 「親密圏」と正義感覚
1 問題の所在
2 正義の理念と家族
3 対外的レレヴァンスと対内的レレヴァンス
4 家族と正義感覚
5 おわりに
Ⅳ 日本型「司法積極主義」と現状中立性
──逸失利益の男女間格差の問題を素材として──
1 はじめに
2 交通事故紛争の解決と裁判所
3 未就労者の逸失利益の算定における男女間格差の問題
4 現状中立性(status quo neutrality)
5 あり得べき正当化
6 結論
第3部
1 フェミニズムとリベラリズムの革新……川崎 修
2 <「親密圏」と正義感覚>について……齋藤 純一
3 経験、多様性、そして法……ダニエル・H・フット
解説 野崎綾子──人と作品……井上 達夫
あとがき
初出一覧
参考文献
索引
内容説明
フェミニズムをまともに語り直すために。法を社会的差別の隠蔽装置とする短絡を戒め、法の役割を真剣に考える。安逸と独断のまどろみを衝く、法哲学の鋭鋒。
目次
第1部(リベラルフェミニズムの再定位―家族論を中心に;正義論における家族の位置―リベラル・フェミニズムの再定位に向けて)
第2部(「親密圏」と正義感覚;日本型「司法積極主義」と現状中立性―逸失利益の男女間格差の問題を素材として)
第3部(フェミニズムとリベラリズムの革新;“「親密圏」と正義感覚”について;経験、多様性、そして法)
著者等紹介
野崎綾子[ノザキアヤコ]
1971年岡山県に生まれる、2003年没。1993年東京大学法学部卒業、司法研修所入所。1995年弁護士登録(第二東京弁護士会)。1998年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程入学。2000年東京大学大学院法学政治学研究科助手就任
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