出版社内容情報
待機児童ゼロ作戦、夜間保育、病児保育など、保育サービスを中心に少子化対策が進められているが、保育園をいつでも利用でき、子どもにお金がかからなくなれば、子どもを持とうと思う人が増えるのだろうか。
本書は、経済政策の一環として少子化を問題として議論するものではなく、少子化する社会の底流にある個人主義、選択の自由、効率化・合理化の圧力等を再検討した上で、「子育てをする権利」を軸にした発想の転換や少子化対策の新しい方向を打ち出す。諸外国の政策動向もふまえ、親と子を分離する方向ではなく、親に子育ての時間と自由を保障することで、子どもにも親にも、そして社会全体にも利益があることを明らかにする。
序章 少子化対策への疑問
1 わが国の少子化の現状
2 人口爆発と少子化対策
3 人口減少歓迎論と少子化対策
4 女性の働く権利と少子化対策
5 期待される女性と少子化世代のとまどい
6 本書の問題意識
第一章 選択の自由がもたらしたもの
1 子育ては損という意識
2 親になることの責任の重さ
3 専業主婦の子育て支援はなぜ進まないのか
4 選択の自由という幻想
5 社会力の弱さ
6 木を育てることと子どもを育てること
第二章 少子化対策で幸せになれるのか
1 子育てのマクドナルド化
2 二つの方向──効率化と非効率の回復
3 侵食されない領域を確保する
4 少子化対策の政策的意図
5 少子化対策と教育改革
6 親の教育権の不在
7 子育てをする権利からの発想
8 チャイルド・フリー運動の背景
第三章 子育てをする権利を保証する政策
1 北欧の在宅育児手当
2 在宅育児手当の政策理念
3 ホームスクール
4 子育ての時間を保障する労働政策
5 親たちによる自主保育活動の支援
6 ニュージーランドの自主保育活動プレイセンター
7 親のエンパワーメント
8 コミュニティづくりを支える
第四章 市場の外にある時間と空間の可能性
1 新教育連盟の思想
2 羽仁もと子の教育理念
3 イタリアの時間銀行
4 合築による世代間交流
5 ドイツのクラインガルテン
6 高齢化と新しい価値観
7 情報化社会と縁
8 利子のつく貨幣と老化する貨幣
終章 もう一つの少子化対策
1 少子化しない社会の背景にある意識
2 森づくり政策と少子化対策
3 つなぐ存在としての子ども
4 未来からの圧力
5 選択する時間と関係としての時間
6 階層の視点
7 少子化対策への期待
8 子どもという存在の可能性
あとがき
参考文献
内容説明
保育所を整備すれば、子どもは増えるのか。子育ての時間と自由の保障が子ども・親・社会全体に利益をもたらすことを明らかにする。
目次
序章 少子化対策への疑問
第1章 選択の自由がもたらしたもの
第2章 少子化対策で幸せになれるのか
第3章 子育てをする権利を保障する政策
第4章 市場の外にある時間と空間の可能性
終章 もう一つの少子化対策
著者等紹介
池本美香[イケモトミカ]
1966年神奈川県生まれ。本名・森美香。1989年日本女子大学文学部英文学科卒業、三井銀行(現三井住友銀行)入行。2000年千葉大学大学院社会文化科学研究科博士課程修了。現在、株式会社日本総合研究所調査部主任研究員。博士(学術)。主要著書・論文に「親の時間世界に生じている変化」(1997、東洋経済高橋亀吉記念賞優秀作受賞)など
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