感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
30
トルコのアクティヴィストが記した、ソーシャルメディア(SNS)と社会運動の関係についての書物。運動の内部に居た者、つまり活動家が記した生々しいドキュメンタリーとして読める。裏返せば、理論的にゴリゴリという感じの本ではないので読みやすい。フェイスブックやワッツアップといったソーシャルメディアにどれくらいの可能性が残されているのか、社会と連動してどう状況を変えて来たのか分析する筆致はスリリングで、翻訳も読みやすい。カルチュラル・スタディーズを専攻している読者なら必読すべき書物だ。日本でもこのレヴェルの類書を!2018/10/17
BLACK無糖好き
18
オキュパイ運動やアラブの春などの抗議運動で、SNSによる大衆動員の効果と運動の発展持続性を、1960年代のアメリカの公民権運動との比較で検証。現代はSNSの効力で参加者を容易に集められる反面、組織的構造の脆弱さやリーダーシップの欠如から「戦術のフリーズ」を引き起こしやすい。権力者側もSNSを利用して反政府運動を麻痺させるなど、最近の傾向もしっかりとおさえている。◇世界中の抗議活動の場に図書室があるのが印象に残った。やはりオンラインのテクストよりも、紙に印刷されたテクストの力は偉大なりか。2019/04/27
Ilya
1
2021年、タイやインドなど各国の反政府デモを語るにSNSは欠かせない。自らも活動家として多くの抗議活動に参与してきた著者がネット時代の政治運動を社会学的に考察する。インターネットはデモ形成に多大な貢献をしており、公民権運動の時代より遥かに容易な火付けや整除を可能にした。しかし同氏は安易にSNSを運動の主体に据えたり、アカウントからの言論の自由の保障を所与のものとせずに、媒介や原因の場である各サービスを読み解きながら、活動におけるリーダーの不在性や匿名性は必ずしも抗議の力を増長させるわけでないと指摘した。2021/07/06
かいけん
1
香港の状況が予断を許さない状況の中で読んだ。ネットと社会運動というテーマではとてもよくまとまった内容だと思う。ネットがもつ力と限界、SNSというツールの可能性と1私的企業が運営しているというアルゴリズムの壁。真偽不明な大量の情報の濁流で人々が判断を留保して動きをとめる中で僕らはこれからどうすべきなのか、この本の中でもそれは示せてないけど、結構重要なテーマだと思う。重たい本だけどみんなに読んで欲しい。2019/09/04
a.k.a.Jay-V
1
このインパクト大のタイトルにヤラれて即購入するも会社内にて行方不明に…半年後くらいに、発見されて読了。その半年の間にも、この同じ空の下でデモと制圧と嘲笑があって、世界は時に同じことを繰り返し、時間は驚くほど無慈悲だ。アラブの春はSNS革命と言われたがオキュパイは革命ではなく運動止まりで先進国では革命になりにくいのかもしれない。それは本書にあるバスボイコットにも関係している。バスボイコットが成功したから大企業のボイコットが成功するとは限らない。ボイコットされた企業は冷淡に末端の現場の人間を切るだけだろう。2019/06/19
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