出版社内容情報
「ハゲると女性にもてない」「ハゲがダメなんじゃない、堂々としてないからダメなんだ」……ハゲについて当たり前のように繰り返される発言。はたしてそれらは本当なのか。著者の取材によれば、ハゲたことによって実際の不利益を被ることは、実はあまりない。だが「ハゲた」という事実によって本人の社会的立場は明らかに変わる。どうなるのか?そしてハゲという外見は男と女の関係,男同士の関係にどう作用しているのか。「ハゲる」ことを男は何故恐れるのか,そのメカニズムを暴く。カツラもポジティブ・ハゲも乗り越えて、ハゲ経験を巡る初の男性
内容説明
「カッコわるい」「女にもてない」「堂々としないからダメなんだ」。そうした言葉に怖れおののく男たち。人間関係が生み出す通俗心理とコンプレックスの構図を暴く。
目次
第1章 なぜハゲ現象を扱うのか
第2章 ハゲ経験のリアリティ―インタビュー調査から
第3章 ハゲはつくられる―抜け毛が「ハゲ」とラベリングされるまで
第4章 ハゲ経験を読み解く―ジェンダー論的アプローチ
第5章 “男らしさ”はテストされ、そして維持される
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
二人娘の父
9
タイトルで「ハゲ対策本か?」と早合点してしまう方には、「そういう類のものではない」ということだけは伝えておきたい。およそ22年前の研究(修士論文が基になっている)とのことだが、後に続くジェンダー論、男性性についての研究・学習のうえでは必読文献ではないだろうか。男性器の研究文献と連続的に読むことでさらにその思いは強くなった。男性が攻撃性を持つことと関連付けて論じられる「からかい」についての分析などは、現在では「いじり。いじられキャラ」などを考えるうえで示唆に富む。2021/09/07
nranjen
7
図書館本。pebbles booksで見て読みたくて借りる。実は「ハゲ」が抱える「複雑さ」をインタビューとジェンダーの視点からのの分析であぶりだしていく。女性という「他者」の視線によって見る者、選ぶ者から見られる者、選ばれる者へと180度転換される「ハゲ」という加齢による現象。、同性からの攻撃、差別、排除にさらされ、それをカモフラージュすることが強制されるという穏やかならぬ自体が明るみにされている。これは修士論文が基になっていそう。凄すぎる。2021/03/07
きなこ
6
インタビューが面白かった。複雑な心理状態が分かる。ほかに、男らしさとからかいの考察は興味深く読んだ。表面上には女性の目を気にしているようだが実際には男性同士のマウンティングだったり「人格テスト」だったりする。他者への攻撃によって実現する男らしさというのはやっかいなものだ。2018/06/21
Uzundk
6
最近抜け毛が酷いので。 女性にモテないというからかいがよく出てくるが、多くは別の機能、人格テストとして用いられていると著者は語る。実際にハゲであること、それを指摘してどう反応するかで相手の人格を試す。逃げたり誤魔化す人か、その反応で推し量るという。堂々としていれば気にしないとか。これがインタビューにあった回答がなかなか良い。男はあまりが意見を気にしない、ハゲの場合は他人が気にしていると"自分が感じる"から気になるのだという。なるほど参考になる。ただ、ハゲるときはやっぱりハゲるんだな……2015/02/02
yamiyami2225
3
「男らしい」マッチョな「メンツ」を守るためだけではなく、日常的に弱さを見せづらい環境がある。フェミニズムに対抗する男性復権ではない、男性間での力関係による抑圧を問い直す男性学へ。 2023/04/17
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