出版社内容情報
2023年、1億1000万もの人々が世界中で避難状態にあった。人の強制移動が恒常的となった現実を見据え、新たな選択肢を探る。
人道主義の長い歴史の中、戦火は激烈かつ長期化する現代、難民をめぐる状況には新たな介入が必要である。従来、脆弱さが強調されてきた難民の「自立と回復力」に近年は注目が集まる。本書は人間により作られた災害に焦点を合わせ、「危機」において難民に関わる共通の問題を明らかにする。これまでの「恒久的解決」を超えて、新たな選択肢へ向かう。
内容説明
新たな権力と暴力が出現し、世界が変化する中、避難や移住への強い圧力がかかる。過去2世紀、人道主義は著しい進歩をとげた。だが、その倫理的曖昧さを超えて既存の援助構造を変革することは可能なのか?
目次
序章 動く世界―移住のダイナミクスとグローバル公共政策
第1章 難民と人道主義―状況の設定
第2章 難民と人道主義の関係史
第3章 人はなぜ、人を助けるのか?―定義、原則、制度と区別基準
第4章 現代的人道主義の種類と戦略的思考―可能性と結果
第5章 国家主権の顔をもつ人道主義―政治と倫理の結びつきの変化と緊張
第6章 封じ込めとしての人道主義―難民キャンプでの保護と援助
第7章 人道援助組織の権力と倫理
第8章 難民の自立―過去の経験に学ぶ未来への志向
終章 私たちは「人道主義ではない」人道主義の時代に生きている
著者等紹介
小泉康一[コイズミコウイチ]
大東文化大学名誉教授。専攻は難民・強制移動研究。1973年東京外国語大学インドシナ科卒業、1977年同大学院修士課程修了。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)タイ駐在プログラム・オフィサー、英オックスフォード大学難民研究所客員研究員、スイス・ジュネーヴ大学国際関係高等研究所客員研究員、大東文化大学国際関係学部教授などを経て、同大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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