出版社内容情報
18?20世紀にかけ規範的な子ども像が確定していくプロセスに医学がいかに関与したかを問う、「逸脱」と医学をめぐる子ども史。
貧困階層における生殖・再生産への医療的介入、子ども司法や貧児、孤児などの処遇に医療はどのようにかかわってきたのか。フロイト派の展開や知能検査などの心理学・児童精神医学上のツールの展開は「逸脱児」のラベリングにどう寄与したのか──子どもと発達に介在する医学のあり方の編年史を子ども史の視座から解き明かす。
内容説明
「逸脱児」と医学。貧困階層における生殖・再生産への医学的介入、貧児、孤児などの処遇に医学はどのように介在してきたのか。18世紀後半から20世紀後半にかけ規範的な子ども像が確定していくプロセスを検証し、その枠付けに「子ども」をめぐる医学がいかに関与したかを問う。子ども史の視座から解き明かす「子ども」をめぐる医学の編年史。
目次
医学が子どもを見出すとき
第1部 「医学」による「子ども」の発見(一八世紀末アメリカの医学と子ども・家族の交差―ベンジャミン・ラッシュの医学理論と社会改革思想、家庭生活の連関に着目して;一八世紀イギリスの助産救貧をめぐる産み育てる身体の科学化―子どもの生命への配慮と女性産婆;一九〇〇年前後の岡山孤児院における看護と病気―看護婦の経歴と仕事に注目して)
第2部 医学調査と衛生管理(二〇世紀初頭ドイツにおける「危険にさらされた子どもたち」の保護と医療の介入―「ドイツ児童保護センター」での取り組みを中心に;二〇世紀転換期イギリスにおける子どもの栄養をめぐる「科学」的な議論―学校給食実施過程に焦点をあてて;植民地朝鮮における都市細民「土幕民」の社会医学的調査―「生れながらの土幕民」の発見)
第3部 発達心理学・児童精神医学(保護複合体と愛着理論―「論争」期の精神分析的子ども像をめぐって;アメリカ少年司法における医学の導入と展開―フィラデルフィア市立裁判所の医療活動(一九一四年~一九二七年)に着目して
「戦災孤児」への心理学的関心―第二次世界大戦後の近江学園における知能検査と教育実践に着目して
愛着理論の再浮上と施設養護の「家庭化」―九九〇~二〇〇〇年代における乳児院の変遷を中心に
孤児、貧困児、施設児と医学をめぐる子ども史)
著者等紹介
土屋敦[ツチヤアツシ]
東京大学大学院人文社会系研究科社会学専門分野博士後期課程修了、博士(社会学)。現在、関西大学社会学部教授
野々村淑子[ノノムラトシコ]
東京大学大学院教育学研究科総合教育科学専攻博士後期課程修了、博士(教育学)。現在、九州大学大学院人間環境学研究院教育学部門教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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