出版社内容情報
聞き取り調査を通じ、既存の宗教や科学に依拠せず、老いと死に折り合いをつけようとする現代日本における習俗の実相に迫る。
老いて労働生産性から脱落し、死へ歩みだしたことを自覚するとき、人はどのように老いや死と折り合いをつけるのか。「あの世」が存在するとの信念を共有する4つの習俗を「儀礼」の一環と捉え、その聞き取り調査を通じ、既存の宗教にも科学にも依拠せず、老いと死に折り合いをつけようとする現代日本における習俗の実相に迫る。
内容説明
老いや死に対する人々の矛盾や葛藤を掬い上げる「あの世」とは。既存の宗教や科学に依拠せず、老いと死に折り合いをつけようとする現代日本における4つの習俗を通じ、その実相に迫る。
目次
序章 老いと死をめぐる習俗から現代社会を問う
第1章 「棄老」―民俗学的アプローチと文学的アプローチを用いて
第2章 「ぽっくり信仰」と「嫁いらず信仰」
第3章 「お供え」と「蔭膳」―不在の死者と不在の生者
第4章 「墓参り」―現地調査から見えてくる生者と死者
終章 習俗が投げかけるもの
著者等紹介
佐々木陽子[ササキヨウコ]
1952年東京生まれ。2005年東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士後期課程単位取得退学。2011年より鹿児島国際大学福祉社会学部・福祉社会学研究科教授、2017年3月退職。2021年3月博士号取得(学術・東京大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Go Extreme
2
ぽっくり信仰: 急死を願い長患いを避ける 地域ごとに異なる習俗や商業的な呪法 介護への否定的な姿勢や老いの拒否 嫁いらず信仰: 結婚を避ける信仰で3つの類型が存在 女性の社会的役割や家族構成と密接な関係 介護・相続問題と関連し家族の責任に影響 お供えと蔭膳: 故人への感謝・供養の象徴 蔭膳は死者との精神的な交流を図る 墓参り: 生者と死者の関係を深める 合葬墓地や公園化の進展で関係性変化 墓前飲食は共同体意識を反映 介護や老いへの社会的視点が信仰に影響 高齢者福祉や地域社会の在り方を考える重要性2025/02/03
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