出版社内容情報
これは「社会システム理論」ではない。本書そのものが社会システム(の一部)なのだ。ルーマンの転機となった著書、待望の新訳!
本書はルーマンの理論が「オートポイエーシス」概念を摂取することによって「後期」の姿へと変貌していく、そのターニングポイントとなった。以後次々と刊行されていく「社会のシリーズ」で縦横に駆使されることになる諸概念装置が、一通り提起される。このルーマン理論の折り返し点ないし蝶番となった著書を碩学渾身の翻訳で読む。
内容説明
ルーマンの理論が「オートポイエーシス」概念を摂取することによって「後期」の姿へと変貌していく。この折り返し点ないし蝶番となった著書を碩学渾身の翻訳で読む。
目次
第7章 個人としての心理システム
第8章 構造と時間
第9章 矛盾とコンフリクト
第10章 全体社会と相互行為
第11章 自己言及と合理性
第12章 認識理論にとっての諸帰結
著者等紹介
ルーマン,ニクラス[ルーマン,ニクラス] [Luhmann,Niklas]
ビーレフェルト大学名誉教授。1968年から1993年までビーレフェルト大学社会学部教授を務めた。1927年‐1998年。著書多数
馬場靖男[ババヤスオ]
大東文化大学社会学部教授。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
9
認識論の自然化という本書の目論見には、実験室のような閉鎖系の物理学モデルから環境と生命の開放系の生物学モデルに人間中心の認識論を転換する要請があるようだ。本巻中盤で扱われる構造の検討を辿ると、生物学由来のシステム概念を社会学に採用されたのは、各要素の集まりである構造を採用する社会概念が環境等の外との動的関係に記述しにくい点からも理解できる。システムから見ると社会を支える「意味」も不安定であるゆえに、自己参照を繰り返すシステムは、矛盾を抱えつつ予期する自己言及的ループを作る、とされる(免疫システムと類似)。2024/07/10