出版社内容情報
恋愛は近代的な「自己」の実現のうえで、いかに意味づけられていったのか。恋愛という観念の男女による形成過程の違いを分析する。
内容説明
近代日本における「恋愛」と「ジェンダー」の関係を検証する。恋愛という観念の形成とともに、男女の間には、どのように新たな境界線が引かれていったのか。恋愛をめぐる男女の歴史的経験を描出する。
目次
序章 問題視角―恋愛における「自己」とジェンダー
第1章 夫婦愛の成立―「自己」と「役割」の緊張関係
第2章 反社会としての恋愛―男たちの「自己」の追求
第3章 恋愛の社会化―「自己」から「男らしさ」へ
第4章 「女同士の恋」―女たちの「自己」の追求
第5章 恋愛への囲い込み―「女」としての「自己」
第6章 残されたジレンマ―「自己」と「役割」の狭間で
終章 恋愛の脱構築に向けて
著者等紹介
田中亜以子[タナカアイコ]
1982年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程研究指導認定退学。京都大学博士(人間・環境学、2017年)。現在、関西大学、関西学院大学ほか非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saiikitogohu
1
【他の誰でもない「たったひとりのあなた」が好きなのだという気持ちを肯定してくれるのもまた、恋愛という観念である。恋愛は、個人の個別性と自己決定をこそ重視するものであるという意味で、既存のジェンダー秩序に加担するだけの観念であるともいえない】ⅲ【身分制度が廃止された明治の代にあって、人々が自らの意志のみによって「何者か」になることが求められる時代状況…あたかも見つけるべき「本当の自己」なるものが存在するかのようなフィクション…その延長で恋愛における「本当の自己」を実現することこそが求められていった】32022/02/11
Kiefer
1
近代的な「自己」の実現が求められていながら、そのために異性から恋愛対象にされなければならないジレンマを明らかにしてくれた本。男女間の「恋愛」観念の非対称性がわかるので、ちょうど読みたかった。
❁
1
まさに私が必要としていた本。とても励まされた。2020/03/08
澄川石狩掾
0
近代に登場した「自己」と恋愛の問題を論じた宮野真生子『なぜ、私たちは恋をして生きるのか』に立脚した上で近代の恋愛を論じている。異性愛以外にも射程を拡げている点が優れている。2021/04/13
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