内容説明
ロマンチックな「環境保護」から市民が議論し規範を作り出す環境倫理学へ。これまでの環境倫理学と都市研究をふまえながら、都市の持続可能性、都市における自然、都市の快適な居住環境(アメニティ)の維持という三つのテーマを軸に規範的な論点をわかりやすく提示する。身近で具体的な現場から環境倫理を考える入門書。
目次
第1部 環境倫理学をふりかえる(アメリカの環境倫理学;日本の環境倫理学;「都市の環境倫理」ための基礎)
第2部 都市の環境倫理(「都市の環境倫理」の問題領域と担い手;都市の持続可能性、都市における自然、都市のアメニティ;「都市の環境倫理」の具体化にむけて)
著者等紹介
吉永明弘[ヨシナガアキヒロ]
1976年生。2006年千葉大学大学院社会文化科学研究科修了。現在、江戸川大学社会学部講師。専門は、環境倫理学、公共哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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madofrapunzel
2
★★★★★(途中読み) これは、大変優れた書物です。そもそも、著者の博士論文を発展させたものを、他の大学教員の方に、都市部での環境倫理(例えばありていに言えば、自然のものと人口のものとの調和をいかにとるか)を語る際の参考書とて読んでもらいたい、だとのことだからです。だから記述も非常に丁寧。なのにアメリカ環境倫理学のおおまかな流れや、和辻の「風土」論もきっちりおさえる。素晴らしい書物です。個人的には、図書館に一旦返して、また続きを読みたいと思います。2014/03/18
odmy
0
十年以上積読だったのを、必要があってやっと読み終わった。著者オリジナルの主張はほとんどなくて長い長い読書感想文という感じ(書名の『都市の環境倫理』というアイデアすらライトという人の受け売りだった)。あと、都市の効率性とか実証データを示さないと何とも言えないことを学者の発言を引用するだけで済ますのはどうなのか。一番最後に出てきた「ローカルな環境倫理にこだわると結局はただの地域エゴで終わるのでは?」という論点は個人的にとても気になっているところだけど、ふんわりした希望が述べられているだけだったのは残念だった。2024/10/27
いたる
0
日米の環境倫理学史を概観した上で、より実践的な環境プラグマティズムの見地から、現場での問題解決に繋がる学問のあり方を提示する。 環境倫理学の教科書だが、人文主義地理学や風土論の説明も厚く、地理学徒必読の一冊だ。2020/04/10