出版社内容情報
フェミニズムの今の課題は何か。欧米のフェミニズム論争の主要な見解を明示し、対立と不一致を丹念にときほぐして進歩の可能性を探る。
60年代後半のフェミニズム運動以来、多くの国々で女性は様々な権利を獲得し、社会的地位も向上した。しかしなお不利益も残っているとしてフェミニズム内部での政治的見解の対立も目立つ。本書はこの不一致に焦点をあて、人権と階級、政治と国家、家庭と就労、再生産など8つの争点を詳しく検討する。
第1章 フェミニズムと今日の女性の状況
今日の女性:変化のバランスシート
フェミニスト・ディベート
第2章 フェミニズム理論の現在
権利の平等:「常識的」リベラリズムのアプローチ
資本主義と社会主義:女性の抑圧と解放
マルクス主義とフェミニズム:「不幸な結婚」は救われるのか
「ラディカル」、女性中心のアプローチ
ポストモダニズムの衝撃
結論:今日のフェミニズム理論と政治的実践
第3章 ジェンダー・人種・階級
「ジェンダー」「人種」「階級」という言葉
フェミニズム:人種主義者で階級的に偏りのある運動か
一番抑圧されているのは:ヒエラルキーから相互補完的抑圧へ
今後の方向性
第4章 フェミニズムと法
男性に支配されている法曹職
男性との平等:雇用法
女性の立場からの平等
男性との平等:刑法
ジェンダーと正義:女性たちの「もう一つの声」
家父長的社会の法律
変革のための戦略
法的フィクションとしての性
結論
第5章 政治と国家
フェミニズム理論と政治的諸概念
英国、米国、スカンジナヴィア諸国における近年の政治的経験
フェミニズムと女性の政治的代表
結論:フェミニズム政治戦略の現在
第6章 家族と就労
家族:今日の家族
就労:近年の変化
結論:あらゆる人々の利益のために
第7章 再生産
今日の情勢
「女性の選択権」についての競合する視角
権利を超えて:中絶とフェミニストの議論
中絶のフェミニズム的道徳のために
結論:フェミニズムと再生産政策
第8章 ポルノグラフィ
背景
フェミニスト、ポルノグラフィ、法律:論争の概観
ポルノグラフィとは何か
女性に対する男性の性暴力
ポルノグラフィとセックス:抑圧の基盤か
結論:21世紀に向けた議論と戦略
第9章 男という問題
理論的な出発点
マルクス主義と社会主義
ラディカル・フェミニズム
反フェミニズムの主張:男性の抑圧
ブラック・フェミニズムとポストモダン・フェミニズム
男性とフェミニズム理論の現在
男性規範の放棄
男らしさの問題
一つの男らしさから複数の男らしさへ
男らしさの再構築
結論
第10章 結論
解説 江原 由美子
内容説明
フェミニズムの今日の課題は何か。欧米のフェミニズム論争の主要な見解を明示、対立と不一致を丹念にときほぐして進歩の可能性を探る。
目次
第1章 フェミニズムと今日の女性の状況
第2章 フェミニズム理論の現在
第3章 ジェンダー・人種・階級
第4章 フェミニズムと法
第5章 政治と国家
第6章 家族と就労
第7章 再生産
第8章 ポルノグラフィ
第9章 男という問題
第10章 結論
著者等紹介
ブライソン,ヴァレリー[ブライソン,ヴァレリー][Bryson,Valerie]
現在イギリスのハッダースフィールド大学政治学教授。1973年、イギリスのケント大学においてPhDを取得。ブラッドフォード大学を経てハッダースフィールド大学政治学科に移り、2002年から現職。フェミニズムとジェンダーに関連する広範な領域について教鞭をとるとともに著書を刊行し、そのフェミニズム政治学理論については国際的にも評価されている
江原由美子[エハラユミコ]
1952年生まれ/東京都立大学教授/東京大学大学院社会学研究科博士課程中退・博士(社会学)
長谷部美佳[ハセベミカ]
1970年生まれ/東京都立大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士課程在籍
岩瀬民可子[イワセミカコ]
1964年生まれ/1999年東京都立大学大学院社会科学研究科社会学専攻修士課程修了。現在、東京都立大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士課程在学中
小宮友根[コミヤトモネ]
1977年生まれ。東京都立大学大学院博士課程在籍
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