出版社内容情報
日本社会は世界一の速度で高齢化している。この大きな変化のなかで、どうすれば安心して老後を迎えることができるのだろうか。本書は、高齢者にとってどのような施策が必要なのか、地域や家庭のサポートとどう組みあわせることによって穏やかな老いを生きられるかを、精密な調査とデータに基づいて考えていく。子供との同居は幸せか、余暇は幸せをもたらすか、夫婦関係は安心の条件か、家事はどうするか、どこで誰に介護してほしいかなど、切実で具体的な問題をとりあげ、実情と問題点を明らかにする。サクセスフル・エイジングのための基本を示す。
【目次】
Ⅰ 高齢者研究の課題と方法
第1章 サクセスフル・エイジングの分析枠組み
1 社会学的にみたエイジング
2 中高年期の主要な役割移行とその時代的背景
3 役割移行と文化的背景
4 役割移行によって生じる諸問題
5 変化の過程を追うために―長期的研究の必要性―
6 役割移行への適応とサクセスフル・エイジングの測定
7 本書で使用する調査データとPGCモラール尺度の概要
8 本書の構成
第2章 高齢者のサポートと家族
1 問題の概念枠組み
2 同居慣行の継続と変容
3 同居、別居の子とサポート
4 友人、近隣、公的組織からのサポートと家族
5 結論
第3章 家族介護と社会福祉サービス
1 だれが、どこで、高齢者を介護するか
2 日本における介護者の推移
3 家族介護の過程とその破綻
4 社会介護―家族にかわる介護者―
5 結論
Ⅱ 幸福に老いる
第4章 子供と住むことは高齢者の幸せか―家族・親族・友人の果たす役割―
1 親族か友人か
2 使用するデータと幸福感の測定
3 幸福感の属性による差異
4 幸福感と家族構成
5 近隣や友人との交際と幸福感
6 親族か友人か―重回帰分析による検討―
第5章 余暇行動は幸せをもたらすか
1 生きいきとした老後に向けて
2 離脱理論と活動理論
3 使用するデータと幸福感の測定
4 職業とモラール
5 活動性と外出行動
6 外出行動を規定する要因
7 外出行動とモラール
8 おわりに―外出がしやすい町づくりのために―
第6章 子供との関係をどう幸せにつなげるか
1 子供との関係の多次元性
2 使用するデータ
3 「構造」と幸福感―子供の有無、子供との同別居―
4 子供との交流と幸福感
5 子供とのサポートの授受と幸福感
6 子供との不一致と幸福感
7 幸福感の重回帰分析
8 事例から見る子供との交流と幸福感
9 残された課題
第7章 夫婦関係は幸福の条件か
1 夫婦関係についての3つの問題
2 使用する2種類のデータ
3 夫婦の情緒的関係と幸福感
4 伝統的性役割の逆転と幸福感
5 配偶者の有無と幸福感
Ⅲ 助けてもらって老いる
第8章 家事は高齢者にとって負担か
1 高齢者と家事に関する4つの問題
2 これまでの研究
3 どのように家事が行われているか
4 夫の世話
5 手が回らない家事
6 家事の負担感
7 子供、配偶者、福祉サービスのどれを選ぶか
8 配食サービスはどれくらい知られているか
第9章 高齢者のサポートは連携しているか
1 問題
2 使用するデータとサポートの測定
3 フォーマルサポートかインフォーマルサポートか
4 サポートの連携―サポート源の広がりに着目して―
5 夫婦は相互にどうサポートしているか
6 高齢者の年齢とサポート授受
7 結論と今後の課題
第10章 子供からのサポートは期待できるか
1 問題
2 子供との情緒的関係とサポート
3 自立と依存
4 子供との関係についての規範
5 サポート授受の重相関分析
6 結論と今後の課題
第11章 誰にどこで介護してほしいのか―介護に関する高齢者の意識―
1 問題
2 使用するデータ
3 寝たきりになった場合の希望
4 配偶者の介護
5 夫と妻の介護意識の関連(夫婦世帯調査)
6 老人ホームと病院についての意識
7 ボランティア志願とボランティアの受け入れ
8 これからの介護のために
第12章 サクセスフル・エイジングの条件
1 幸福感を高めるために
2 多様なサポートを増やすために
3 サクセスフル・エイジングに向かって
参考文献
あとがき
索引
内容説明
安心して老後を迎えるために私たちは何をすればよいのか。地域・家族のサポートと施策のあり方を精密な調査とデータに基づいて考える。
目次
1 高齢者研究の課題と方法(サクセスフル・エイジングの分析枠組み;高齢者のサポートと家族;家族介護と社会福祉サービス)
2 幸福に老いる(子供と住むことは高齢者の幸せか―家族・親族・友人の果たす役割;余暇行動は幸せをもたらすか;子供との関係をどう幸せにつなげるか ほか)
3 助けてもらって老いる(家事は高齢者にとって負担か;高齢者のサポートは連携しているか;子供からのサポートは期待できるか ほか)
著者等紹介
直井道子[ナオイミチコ]
1944年東京に生まれる。1972年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。1972年東京都老人総合研究所研究員。主任研究員、社会研究室長を経て、現在、東京学芸大学教育学部教授
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