出版社内容情報
中世の形骸化した秩序意識の中から、新たな主体=近代的なコミュニケーションの主体が生まれてくる様子を三人のキーパーソンを配して考える理論史の試みである。キーパーソンは、クザーヌス(1400-64)、ミルトン(1608-74)、ロック(1632-1704)である。クザーヌスは枢機卿、世界秩序を数学的に捉え、世界と人間への積極的な肯定の態度によって知られる。ミルトンは詩人、清教徒革命の論客として出版の自由などの論陣を張った。ロックは経験論哲学の創始者、民主主義制度の定礎者として著名である。
目次
《近代》社会の生成とコミュニケーション理論の成立
第1章 コミュニケーション理論の性格と課題
1 ヴィア・モデルナとデヴォーチオ・モデルナ
2 《コミュニオン》の危機とニコラス・クザーヌス
3 国民国家の胎動とクザーヌス
4 グーテンベルグとクザーヌス
第2章 クザーヌスにおける自然・記号・人間
1 ニコラス・クザーヌスの思想像
2 《コミュニオン》の動揺と人間
3 『隠れたる神』と《コミュニケーション》の主体
4 クザーヌスと《近代》的世界像
第3章 ミルトンと『アレオパジティカ』
1 通商・交易の中のウイリアム・ククストン
2 《コミュニケーション》の源流とククストン
3 ククストンからジョン・ミルトンへ
4 ミルトンの《教会政治》批判
5 『アレオパジティカ』と《コミュニケーション》の自由
第4章 ロックのコミュニケーション理論(1)
1 《近代》の生成とジョン・ロック
2 十七世紀イギリスの社会変動
3 ジャーナリズムの成立と言論統制
4 《コミュニケーション》の自由とロック
5 特許・検閲法の廃止とロック
第5章 ロックのコミュニケーション理論(2)
1 ロックと自然法思想
2 ロックの《市民政治》理論
3 《市民社会》の主体像
4 ロックにおける《コミュニケーション》主体の成立
注
あとがき
人名・地名索引/事項索引
図表/写真/図版一覧
目次
1 「近代」社会の生成とコミュニケーション理論の成立(コミュニケーション理論の性格と課題;クザーヌスにおける自然・記号・人間;ミルトンと『アレオパジティカ』;ロックのコミュニケーション理論)