出版社内容情報
中国の女性学は1980年代半ばに誕生した。中国女性の現状と歴史を女性学の視点で分析したもの。フェミニズム文学批評など多様な展開のあとをとりあげ,今日の女性問題を概観。
【目次】
Ⅰ 中国女性学の誕生
公共空間の創造―中国の女性研究運動にかかわる自己分析―
1 「研究」はいかにはじまったか
2 理論探索の核にあるもの
3 「意識」の啓蒙と革新
4 民間組織(NGO)の出現と行動「戦略」
5 「学術分野」としての確立へ
6 「研究」と「発展」
Ⅱ いま、女性たちは―都市と農村で
経済改革と女性問題
1 中国女性の全体的な状況
2 問題とその背景
3 予測と提言
現代中国女性の役割矛盾 1 役割矛盾とはなにか
2 現代中国女性の役割矛盾
3 役割矛盾の原因―女性はなぜ疲れるか―
4 役割矛盾の解決にむけて
「婚姻内強姦」についての私の意見―女性の人権としての性―
1 夫による強制性交は実際に存在するか
2 法律上の結婚は性的関係まで含むのか
3 強姦罪は夫を除外するか
4 観念の中の「法的規定」
5 性の権利は誰のものか
6 結論
資料―婚姻内強姦の事例
中国人の出産・育児観―個人本位か家本位か―
1 出産・育児観における個人本位ロジック
2 家本位のなかでの個人本位ロジックの欠落
3 家本位ロジックの一環としての出産
4 家本位ロジックに合わない行政手段
5 結論―発展概念の導入
農村における性別役割の変化―黄河中流域の「男工女耕」現象―
1 農民身分の特殊な意味とその変遷
2 経済改革中の農業労働者の性別分化傾向
3 農民身分が性別役割に与える影響
4 問題と提言
Ⅲ 歴史を読みなおす
産育文化の歴史的考察
1 母系時代―汎生殖崇拝分化
2 父系時代―男性本位生殖崇拝
3 父権・夫権時代―多子と男尊女卑
20世紀中国の「女性主義」思想
1 中国女性解放思想の誕生
2 中国共産党の女性解放思想
3 改革開放政策下の女性問題
Ⅳ 女が書く、女が読む
ことばをとり戻す女のたたかい―『歴史の地表に浮かび出る』序―
1 抹殺された女性の歴史
2 この100年―女性はどこまできたか
女性たちは輝く―『中国女性小説選』序―
参考文献
編訳者あとがき
内容説明
本書は、中国における女性学を概観できるように編纂された論文集である。収録した論文の内容は、中国の女性学自体を語るものから、中国女性の現状および歴史を女性学の視点で分析したもの、さらにフェミニズム文学批評まで、広い範囲にわたっている。著者たちは、中国女性学の第一線で活躍しているさまざまな分野の研究者である。
目次
1 中国女性学の誕生
2 いま、女性たちは―都市と農村で
3 歴史を読みなおす
4 女が書く、女が読む