出版社内容情報
裕福な家庭の子供の「努力」と、貧困家庭の子供の「努力」は同じではない。生まれや育ちが人生を決めないための経済学とは。
タバコを吸って病気になる。授業をさぼって進学できなくなる。これらは個人の責任だ。だが同時に、どうしようもできない境遇がそれぞれに深く影を落としている。では、彼らにどのように資源を分配すべきか。努力の概念を精査し、数理経済学の手法を駆使して、チャンスを得る機会を真に均等にするアルゴリズムを打ち出す。
【原著】John E. Roemer, Equality of Opportunity(Harvard University Press, 1998)
内容説明
タバコを吸って病気になる。勉強をさぼって進学できなくなる。これらは全くもって個人の責任だ。だが同時に、生まれ育った家庭や環境など、どうしようもできない境遇がそれぞれに深く影を落としている。それでは、政府は彼らにどのように資源を分配すべきなのか?分配的正義を経済学的に分析した古典をついに完訳!努力の「水準」と「程度」を区別して、数理経済学の手法を駆使し、人生のチャンスを得る機会を真に平等にするアルゴリズムを打ち出す。原書への批判に応えた補論「機会の平等を擁護する」と、詳細な訳者解説つき。
目次
イントロダクション
境遇、タイプ、自律的選択
提案の正当化
機会の平等の形式的な定義
「機会の平等」制度の誘因的性質
生産を伴う機会の平等
厚生に関する機会の平等
健康に関する機会の平等
教育と有利性
機会の平等と失業保険
アメリカにおける教育財政の機会平等分配
機会平等化の適用範囲と程度
どの程度まで機会を平等化すべきか
アファーマティブ・アクション
結論的覚書
補論 機会の平等を擁護する
著者等紹介
ローマー,ジョン[ローマー,ジョン] [E.Roemer,John]
カリフォルニア大学バークレー校でPh.D.(経済学)を取得。カリフォルニア大学デーヴィス校教授、ハーヴァード大学客員教授などを経て、イェール大学政治学・経済学名誉教授。専門は数理マルクス経済学、分配的正義論、政治経済学
後藤玲子[ゴトウレイコ]
一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学、同大学より博士(経済学)を取得。立命館大学教授、一橋大学教授などを経て、帝京大学経済学部・先端総合研究機構兼担教授、一橋大学名誉教授。専門は経済哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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