出版社内容情報
今日の法律学の土台をなすローマ法も、歴史的時間のなかで常に新しいローマ法像を獲得してきた。現在、大きな変化を必要していると認識する著者は、法のみならず政治やデモクラシー、文学や哲学、信用や労働等の認識の再点検を行って、新しいローマ法像へと向かう扉を開く。法学に留まらず、現代社会を捉え直すために必須の教養書。
内容説明
初版を大幅に書き換え、木庭入門的教科書、ついに新版へ。歴史学を基礎として、近代法の淵源ローマ法の「姿」を彫りだす。法学に留まらず、現代社会を捉え直すために必須の教養書。
目次
第1章 歴史的前提(政治;都市と領域 ほか)
第2章 民事法の原点(デモクラシーの原理;ローマのデモクラシー ほか)
第3章 契約法の基本原則(助走;契約法を生み出した社会 ほか)
第4章 所有権概念の登場とその帰結(新しい現実;占有概念の転換 ほか)
第5章 所有権に基づく信用の諸形態(locatio conductio;質権 ほか)
補遺
著者等紹介
木庭顕[コバアキラ]
1951年東京生まれ。1974年東京大学法学部卒業。現在、東京大学名誉教授。専門はローマ法(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
8
猛烈にむつかしい…。所有権概念(dominium)は、前1世紀のローマにて生まれた。キケロの『カエキーナ弁護論 pro caecina)』が始まりといっても過言ではない▲所有権概念に先立って、占有 possessio (vindicia、habere)がある▲占有に関する伝説上の設立先例は、十二表法制定に関わる伝承群の一角を占めるウェルギニア伝承 Virginia 。お前の娘 virginia は、昔さらわれた私の娘だ、だから、娘は私のものだ、みたいないちゃもん。あとで調べよう…2018/02/10
kentaro mori
3
⚫︎ローマ社会を理解するうえでまず基礎に据えるべき認識は、それが政治を土台として成り立っているということである。ここで政治と呼ぶのは、紀元前8世紀にギリシャで誕生した、自由を指導原理とする全体社会組織の、その自由を実現する仕組ないし装置のことである。自由とは、「贈与交換を典型とし、しかし言語行為や記号連関をも含む、echange(交換)によって媒介される相互依存(reciprocite)に由る支配従属関係」からの解放のことである。echangeと無縁に見える端的な暴力もこの関係の一形態である。2025/01/09
TM
2
現代の法律の起源といってよいローマ法の入門?。入門という位置づけではあるが、内容は非常に難解。登場する概念を理解することが困難で、おそらくは現行民法等のイメージに従って考えてしまうところや、そうでなくともローマの当時の社会を具体的にイメージしにくいところからきているのだろうとは思う。個人的には、ローマ法を理解することで現在の法律の本質的な部分が見えてくるのではないか、という期待があったが、そこに至るまでの理解が得られなかった。2025/05/04
cochou
1
1.bona fidesに基づく諾成契約について「欧米は契約の解除を罪悪感なしに戦略に基づき行う」ということを思い出した。 2.本書からの示唆を良質な信用を実現する為に活用したい。2024/08/21
スミレ雲
1
【図書館本】難しさを感じる2019/06/29
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- 和書
- ぼくがちいさかったとき