出版社内容情報
法規解釈の課題は何か?法規の表現とそれを用いる使用者や文脈との関係から、法規解釈の「規則」や裁判官の決断の正当性を分析し、新たな法解釈の方法を模索。
類推禁止をめぐる法理論的洞察、勿論解釈の推論構造の解明、故意・錯誤をめぐる規範的構成要件要素や心理的因果性の問題への接近を通して、法発見論・法適用論の基本的・中心的課題を探求。法規解釈の目標に関する主観的・歴史的解釈論と客観的解釈論との抗争を踏まえ語用論的意味理論の観点から主観的・歴史的解釈論の再構成を図る。
[関連書]
同著者 『刑事手続における事実認定の推論構造と真実発見』 (勁草書房刊)
第一章 語用論的意味理論と法規解釈の目標
Ⅰ ネオ客観的解釈論についてのディアグノーゼ
はじめに
一 哲学的へルメノイティクの継受とネオ客観的解釈論の展開
二 ヘルメノイティク・シンドロームとそのディアグノーゼ
ま と め
Ⅱ 主観的・歴史的解釈論の語用論的ヴァージョン
はじめに
一 語用論的意味理論への転回と主観的解釈論
二 法規の「意味」の意味と主観的解釈論
ま と め
Ⅲ 法規の主観的・目的論的解釈
はじめに
一 クライの主観的・目的論的解釈論
二 所見と主観的・目的論的論証の構造
ま と め
Ⅳ 法発見論における主観的・歴史的解釈論の地位
はじめに
一 主観的解釈論に対する伝統的な反対論拠
二 法律による拘束と主観的解釈論
ま と め
第二章 法発見論と刑法における法発見の限界としての類推禁止
Ⅰ 法発見論と類推禁止―─「可能な語義」の公式をめぐって
はじめに
一 法規による拘束と法発見の概念
二 法概念の曖昧さと「可能な語義」の公式
三 法律学的専門用語の役割と「可能な語義」の公式
四 法発見の類型論的・類推的方法と「可能な語義」の公式
ま と め
Ⅱ 法典化された正当化事由の目的論的縮小禁止
はじめに
一 縮小許容論とその批判
二 縮小禁止論の展開
ま と め
第三章 語用論的・目的論的論証方式と勿論解釈
Ⅰ 語用論的・目的論的論証としての勿論解釈
はじめに
一 勿論解釈の種類
二 勿論解釈とその他の法的論法(類推、反対解釈、目的論的縮小、帰謬法)
三 概念形式論と勿論解釈の〈比較的・多値的・家族的類似的・語用論的〉構造
ま と め
Ⅱ 刑法における最強のレトリックとしての勿論解釈
はじめに
一 刑法二〇八条(暴行罪)における「傷害するに至らなかったときは」と勿論解釈
二 親告罪としての近親相盗と勿論解釈
三 正犯の不可罰性から共犯の不可罰性を導出する勿論解釈
四 抽象的事実の錯誤と勿論解釈
ま と め
第四章 曖昧な法概念の語用論的探究
はじめに
一 不明確な法概念の意味理論的構造
二 法概念の曖昧さと類型論的方法
三 法概念の曖昧さと多値論理学
ま と め
第五章 故意・錯誤問題の語用論的・認知意味理論的分析
Ⅰ 意味理論的問題としての使用規則の錯誤と指示対象の錯誤
はじめに
一 ヘルベルガー、ダルンシュテッ卜およびハフトにおける意味理論的アプローチ
二 意味理論的アプローチについての所見と展望
ま と め
Ⅱ 故意・錯誤問題への認知科学的ストラテジー
はじめに
一 サピア/ウォーフの「言語相対性」の仮説と故意における自己意識的な認知
二 「知覚の理論負荷性」のテーゼと〈として見る〉としての故意における認知
三 イメージによる対象の同定と故意における認知
ま と め
Ⅲ 指示概念と錯誤についての意味理論的分析
はじめに
一 ヘルツベルクの「指示概念の理論」とブルクハルトの批判
二 「指示概念の理論」についての所見と展望
ま と め
第六章 いわゆる心理的因果性と言語行為論
はじめに
一 身体運動に対する原因としての意思?
二 言語行為を典型とする対人的相互行為の語用論的機能としての因果性
三 遡及禁止論と自由に基づく因果性
ま と め
初出一覧
事項索引
人名索引
内容説明
法規の意味とは何か?法規の表現とそれを用いる使用者や文脈との関係から、法規解釈の「規則」や裁判官の決断の正統性を分析し、新たな法解釈の方法を模索する。
目次
第1章 語用論的意味理論と法規解釈の目標
第2章 法発見論と刑法における法発見の限界としての類推禁止
第3章 語用論的・目的論的論証方式と勿論解釈
第4章 曖昧な法概念の語用論的探究
第5章 故意・錯誤問題の語用論的・認知意味理論的分析
第6章 いわゆる心理的因果性と言語行為論
著者等紹介
増田豊[マスダユタカ]
1948年東京都に生まれる。1975年明治大学大学院法学研究科公法学専攻博士課程単位取得退学。明治大学法学部専任助手・専任講師・助教授を経て、明治大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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