出版社内容情報
いかなる政治のあり方が民主政(デモクラシー)なのか。この問いはみかけほど単純なものではない。選挙での多数派による政治のことだ、といってすませてしまうことはできない。たとえば、なぜ少数派は選挙結果に従わなくてはならないのだろうか。問題は民主政とは何かではない。どこまでいっても、民主政とはいかなるものであるべきか、が問われているのだ。公共性を形成するプロセスそれ自体としての民主政というハーパーマスの魅力ある構想を、ルーマンやアレントらとつきあわせて肉付けし、具体的に憲法解釈論の場でその可能性を追求した力作。<
第一章 憲法パトリオティズムとは何か
一 「ドイツ人としてのアイデンティティ」を求めて
ニ 前政治的所与としてのナツィオンと国家?
三 文化による立憲国家の基礎づけ?
四 合理的政治文化による国家
第二章 熟議の民主政を求めて
一 機能的に分化したシステムとしての民主政
ニ コミュニケーションの力と代表的になされる討議
三 コミュニケーションの力と複数性
四 統一体としての国民と複数性としての国民
第三章 民主政の歪みとは何か
一 日本の問題状況から
ニ 連邦最高裁判決の流れと理論の選択肢
三 経済市場と民主政過程
四 営利法人と民主政過程
五 日本の現状をどう考えるか
第四章 国民に直接の決定を求めうるか
一 直接民主政と「善意の市民」
ニ イニシアティブの「産業化」と連邦最高裁判決
三 イニシアティブと民主政との緊張
四 「人民」への訴えとカール・シュミット
五 自由かつ力ある公共は可能か
あとがき
索引
内容説明
公共での議論からいかにして政治が生まれるのか。ハーバーマスの魅力ある構想を、ルーマン、アレント、ヘラーらの議論とつきあわせながら肉づけし、多元的社会において可能な「熟議の民主政」を追求する、鋭利な憲法解釈論。
目次
第1章 憲法パトリオティズムとは何か―国家の基礎づけをめぐって(「ドイツ人としてのアイデンティティ」を求めて;前政治的所与としてのナツィオンと国家? ほか)
第2章 熟議の民主政を求めて―システムと複数性との間で(機能的に分化したシステムとしての民主政―ニクラス・ルーマン;コミュニケーションの力と代表的になされる討議―ユルゲン・ハーバーマス ほか)
第3章 民主政の歪みとは何か―アメリカの政治資金規制論議を中心にして(日本の問題状況から;連邦最高裁判決の流れと理論の選択肢 ほか)
第4章 国民に直接の決定を求めうるか―アメリカの直接民主政をめぐる議論から(直接民主政と「善意の市民」;イニシアティブの「産業化」と連邦最高裁判決 ほか)
著者等紹介
毛利透[モウリトオル]
1967年京都府に生まれる。1989年東京大学法学部卒業。現在、京都大学大学院法学研究科助教授
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感想・レビュー
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