出版社内容情報
リベラリズムや熟議民主主義など、現代政治哲学の重要論点を、異なる方法論をとる研究者たちが徹底討論。知的乱闘を含む対話の記録。
概念分析と論理的整合性に照準を合わせる政治哲学と、テキスト解釈と歴史的文脈から政治的思考を読み解く政治思想史。それぞれの特徴や目的は? 共同研究はできるのか? こうした「方法」をめぐる問いを、「リベラリズム」や「熟議民主主義」など多様なトピックに焦点を合わせて議論し、政治哲学研究の最前線を明らかにする。
内容説明
リベラリズム、リバタリアニズム、熟議民主主義…。現代政治哲学ではいったい何が起こっているのだろうか。本書は、第一線の政治哲学や政治思想史、経済学の研究者による、多彩な対話が織り成す知的冒険の記録である。研究最前線の紹介と、それを踏まえたディスカッションを提供。
目次
第1回 ロールズ思想とは何だったのか―政治思想史と政治哲学の現在
第2回 リバタリアニズムの可能性
第3回 道徳理論としての利己主義
第4回 リベラリズムの歴史を考える
第5回 政治思想における過去の受容と継承
第6回 熟議民主主義を再び考える
著者等紹介
宇野重規[ウノシゲキ]
東京大学社会科学研究所教授。専門は政治思想史・政治哲学
加藤晋[カトウススム]
東京大学社会科学研究所准教授。専門は社会的選択理論および組織の経済学。政治哲学や規範倫理学にも取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Bevel
6
ロールズに関する井上と犬塚のパネルが印象に残ってる。いろんなバックグラウンドの人が話し合ってるのいいなあと思った。政治哲学の議論の現状のサーベイみたいなのを求めて読んだが、どちらかというと方法論の話をしながら思想史の沼に誘惑するような本だった。スキャンロン面白そうなのだけど、たどり着けてないのよね。。ちなみに対談の記録、「哲学史入門」の斎藤哲也さんで大変読みやすかった。2024/08/09
PETE
2
最近流行った歴史学系の本と同じように、政治哲学者のエスノメソドロジーをやるのかと思っていたらそうではないので最初は幻滅。政治哲学者と政治思想史家が今どんな議論に関心を惹かれているかの紹介がほとんど。しかしそれはそれで『論点 政治思想史・政治理論』として興味深い。惜しむらくはマルクスとグレーバーに対する完璧な無視。2025/05/10
ホリエッティ
2
p.149 宇野「バンジャマン・コンスタンは、カトリックの国フランスにおいて、プロテスタントだからこそリベラリズム的な議論ができたという側面があります。また、後のフランソワ・ギゾーもプロテスタントです。つまり、十九世紀フランスのリベラリストの多くがプロテスタントであったことに象徴されるように、宗教的な問題とリベラリズムは密接に結びついてきました。」2025/03/23