出版社内容情報
冷戦末期、凋落を懸念されながらも持ち直し、構造的な大転換を機に唯一の超大国になった米国が、いかに覇権を維持・強化しようとしているか、またいかに日本をその中に組み込もうとしているのか。本書では米国の外交・安全保障政策を左右する「パワー・エリート」諸集団の支配的なパターンを分析することによりこれらの問題を明らかにする。
このような米国に対して日本がいかに反応してきたのか、また、今後米国からのダメージを制御し国際行動の選択の幅を広げるためにはどのように行動をとるべきか、本書の検討課題は示唆に富む。
日本の外交・安全保障政策は誰の選択か
目次
序章 米国の世界戦略(グランド・ストラテジー)論の重要性
1 問題の設定
2 基本的な捉え方
3 既存の研究業績と本書の意義
4 本書の構成
第一部 冷戦期(1980年代中頃から1991年末まで)
第1章 深まる相互依存と国際安全保障
1 官僚政治の国際化現象
2 「東芝事件」をめぐる官僚政治
3 「対ソ連圏融資問題」をめぐる官僚政治
4 結論―国家の枠組みを超えた官僚組織の合従連衡
第二部 「ポスト冷戦」期(1992年から1994・95年まで)
第2章 米国の不明確な戦略
1 新たなる世界戦略の模索
2 「エン・エン」論争
3 米国の政治経済体制
4 「ポスト冷戦」期の世界経済と「エン・エン」戦略
5 クリントン政権、戦略目標に動揺
6 中国問題
7 ロシア問題
8 米国の世界戦略の行方
第3章 日本の錯綜する戦略論
1 日本は国益を実現できる世界戦略を
2 米国による覇権システムを維持すべし
3 大前氏への批判
4 栗山元駐米大使、元外務次官への批判
5 船橋朝日新聞記者への批判
6 小沢元新進党党首、現自由党党首への批判
7 求められる権力政治への発想
第4章 広かった日本の選択の幅
1 米国の死活的利益
2 米国におけるグローバリストへの挑戦
3 米国におけるグローバリストの巻き返し
4 忍耐がいる日・米間調整作業
5 日・米は対中・ロで連携せよ
6 中国への「飴と鞭」
第三部 「ポスト停戦」後(1994・95年から今日まで)
第5章 分裂する米国のエリートと路線対立
1 「文明の衝突」
2 深まるエリートの分裂
3 路線対立
4 再び始まる権力闘争
5 日本の選択は
第6章 新「日米協力のためのガイドライン」の本質
1 詳細が重要である
2 日米安全保障宣言の核心
3 再定義された日米同盟
4 「協力」より「連携」を
5 新ガイドライン策定のプロセス
6 国際政治から見た本質
7 結語
第7章 朝鮮半島をめぐる日米関係
1 北朝鮮は合理的な判断が出来る
2 北朝鮮は脅威ではない
3 米国が怖れているのは日本である
4 日米同盟の虚実
5 北朝鮮の落し所
終章 米国覇権のもとでの日本の選択の幅
1 グローバリスト連合対反グローバリスト連合
2 グローバリスト右派対グローバリスト左派
3 日本のとるべき戦略的な方針
4 日本のとるべき対外政策の指針
補論 ポスト・クリントンを睨んだ日本の対応
1 安全保障・外交政策
2 国際経済政策
あとがき
図表目次
内容説明
米国のパワー・エリート集団に左右される日本の進路。日本の外交・安全保障政策は誰の選択か。
目次
第1部 冷戦末期―一九八〇年代中頃から一九九一年末まで(深まる相互依存と国際安全保障―東芝事件と対ソ連圏融資問題をめぐる日米関係)
第2部 「ポスト冷戦」期―一九九二年から一九九四・九五年まで(米国の不明確な戦略;日本の錯綜する戦略論;広かった日本の選択の幅)
第3部 「ポスト冷戦」後―一九九四・九五年から今日まで(分裂する米国のエリートと路線対立;新「日米防衛協力のためのガイドライン」の本質;朝鮮半島をめぐる日米関係;米国覇権のもとでの日本の選択の幅;ポスト・クリントンを睨んだ日本の対応)