出版社内容情報
この30年で、実験手法は経済学における必須のツールとなった。社会科学諸分野の概念を取り込みつつ、拡大する経済学の今を描く。従来の経済学は、人間の行動原理として利得追求のみを想定してきたが、実際には私達はそのようには振るまわない。それでは、他に何らかの暗黙のやり方があり、私達はそれを社会の中で使っているのだろうか。証券取引、バブル、入札といったテーマに実験を適用して、人間行動・経済行動を解明し、よりよい社会をデザインする試み。
フロンティア実験社会科学 刊行にあたって
はじめに
第1章 ノイズトレーダー実験[草川孝夫]
1. はじめに
2. ノイズトレーダーとは
3. BOS実験のデザイン
4. BOS実験の結果
5. BOS実験の評価と今後の研究の方向性
第2章 三人寄れば文殊の知恵!?───集団の意思決定に関する実験研究[岡野芳隆]
1. はじめに──集団の意思決定と経済理論
2. 集団と個人の意思決定の比較実験
3. 混合戦略均衡実験
4. 混合戦略均衡実験と集団の意思決定
5. おわりに
第3章 株価はどのように決まるのか?[広田真一]
1. はじめに
2. 株式のファンダメンタルバリュー
3. 会社の利益と株価
4. 経済実験で確かめてみる?:「株価=ファンダメンタルバリュー」
5. バブル
6. 経済実験で確かめてみる?:「バブル」
7. おわりに
付論
第4章 複数単位取引入札市場の実験研究[西村直子]──米離れか,自主流通米価格センター入札市場の機能不全か
1. はじめに──消滅した市場
2. センター入札市場は効率的か?
3. センター入札市場の取引ルール
4. 戦略的入札の考え方
5. 実験室での入札市場の作り方
6. 実験データをどう読むか
7. おわりに
第5章 指名競争入札における自治体の公平性がもたらす弊害──経済実験によるアプローチ[川村哲也]
1. はじめに
2. モデル
3. 実験設定
4. 実験仮説
5. 実験結果
6. おわりに
第6章 考え直すこと:社会的ジレンマ解決の理論と実験[西條辰義]
1. はじめに
2. 再考メカニズムと再考2メカニズム
3. 再考2メカニズムでは少し間違っても大丈夫
4. 「他者の目」効果
5. 実験のデザイン
6. 実験結果
7. 「他者の目」効果の検証
8. おわりに
第7章 複数の行動原理に対して頑健な公共財供給メカニズム[舛田武仁]
1. はじめに──公共財供給問題
2. ミニマム・アプルーバル・メカニズムの理論
3. さまざまな行動原理
4. ミニマム・アプルーバル・メカニズムを特徴付ける
5. 実験
6. おわりに
第8章 実験社会科学に応用できる様々な生理学的手法の紹介──イメージングから遺伝子解析まで[品川英朗]
1. はじめに
2. 解剖学・画像診断学における方向や断面に関する用語の説明
3. 脳の形態とその機能
4. 脳イメージング
5. 脳機能画像法の比較
6. 画像撮像上の注意点
7. 遺伝子解析の一般的な流れ
8. 遺伝子多型(polymorphism)に着目した研究
9. 社会科学への応用に際して
10. おわりに
索引
執筆者紹介
西條 辰義[サイジョウ タツヨシ]
西條 辰義(さいじょう たつよし) 1952年生まれ。ミネソタ大学大学院経済学研究科修了。Ph.D.(経済学)。オハイオ州立大学経済学部講師, カルフォニア大学サンタバーバラ校経済学部助教授, 筑波大学社会工学系助教授, 大阪大学社会経済研究所教授, 高知工科大学制度設計工学研究センター長, 一橋大学経済研究所教授を経て, 現在, 高知工科大学教授。文部科学省特定領域研究「実験社会科学――実験が切り開く21世紀の社会科学」代表。専門は制度設計工学, 公共経済学。編著書に『社会科学の実験アプローチ』(共編, 勁草書房) 『実験経済学への招待』(NTT出版)。
内容説明
多領域の研究者が結集して始まる、人間を知るための新たな試み。いまや必須のツールとなった実験手法を用いて人間行動・経済行動を解明し、社会科学諸分野の概念を取り込みつつ、拡大する経済学の姿を描く。
目次
第1章 ノイズトレーダー実験
第2章 三人寄れば文殊の知恵!?―集団の意思決定に関する実験研究
第3章 株価はどのように決まるのか?
第4章 複数単位取引入札市場の実験研究―米離れか、自主流通米価格センター入札市場の機能不全か
第5章 指名競争入札における自治体の公平性がもたらす弊害―経済実験によるアプローチ
第6章 考え直すこと:社会的ジレンマ解決の理論と実験
第7章 複数の行動原理に対して頑健な公共財供給メカニズム
第8章 実験社会科学に応用できる様々な生理学的手法の紹介―イメージングから遺伝子解析まで
著者等紹介
西條辰義[サイジョウタツヨシ]
1952年生まれ。ミネソタ大学大学院経済学研究科修了。Ph.D.(経済学)。オハイオ州立大学経済学部講師、カルフォルニア大学サンタバーバラ校経済学部助教授、筑波大学社会工学系助教授、大阪大学社会経済研究所教授、高知工科大学制度設計工学研究センター長、一橋大学経済研究所教授を経て、高知工科大学教授。文部科学省特定領域研究「実験社会科学―実験が切り開く21世紀の社会科学」代表。専門は制度設計工学、公共経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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