文化浸透の冷戦史―イギリスのプロパガンダと演劇性

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文化浸透の冷戦史―イギリスのプロパガンダと演劇性

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  • サイズ A5判/ページ数 350,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784326302246
  • NDC分類 319.33
  • Cコード C3031

内容説明

文化外交が、いつも相互理解の手段であるとは限らない。それは非政治的な外套をまとっていても、つねに「観衆」を意識し、その心をとらえようとする権力的な動機に支えられている。まるで演劇が上演されるように、国家は競いあって自らの文化的魅力を発信するのである。本書は、戦後イギリスのプロパガンダの系譜を解明することで、このような国際政治の演劇性を描くものである。

目次

序章 冷戦・プロパガンダ・演劇性
第1章 労働党政権と対ソ政策の模索―路線対立の止揚と冷戦コンセンサスの成立
第2章 戦後ヨーロッパと同盟の文化的基盤―「イギリスの投影」から「同盟の投影」へ
第3章 対ソ文化発信と表象の政治学―文化的な広報誌の政治的な帰結
第4章 東欧の共産化と補完するプロパガンダ―BC、BBC、大使館の役割分担
第5章 ヨーロッパ統合と亡命者プロパガンダ―亡命者のヨーロッパ統合運動と冷戦
第6章 国内冷戦と「抱擁」関係―政府・市民社会の密接な関係
第7章 社会管理体制と「規律」の作用―文化攻勢の波とソ連関係委員会
第8章 啓蒙とスペクタクルの文化交流―英ソ文化交流の政治学
終章 冷戦の演劇性とその後

著者等紹介

齋藤嘉臣[サイトウヨシオミ]
1976年生まれ。神戸大学法学部を卒業。神戸大学大学院法学研究科博士課程を修了、博士(政治学)を取得。京都大学大学院法学研究科21世紀COE研究員、学術振興会特別研究員、金沢大学人間社会研究域法学系准教授などを経て、京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。専門は国際政治学、イギリス外交史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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わび

2
冷戦初期のイギリスのプロパガンダを扱った研究。著者は冷戦を、文化という価値体系のテクストを各国が競って発信する演劇的なものと捉え、その魅せ方や聴衆(社会)との関係について具体的事例から考察を行っている。東側からの妨害、政府内における位置づけの違い、イデオロギーからの束縛などから、プロパガンダ戦略は必ずしも統一的なものでもすべてが効果を上げたわけではない点が興味深く読めた。2018/05/13

残留農薬

0
冷戦初期のイギリスのプロパガンダ政策を、それに従事した組織を中心にして読み解いていく。イギリスが東側に対し「投影」を図った理想的なイギリス像に、イギリスの対内的なプロパガンダが束縛されていたという指摘や、文化交流事業においてバレエや音楽といったスペクタクルな「文化顕示」では劣勢に立たされていた西側が、60年代以降は大衆文化によって巻き返していく様子などが興味深かった。しかし、コモンウェルスを擁するイギリスを扱いながらも、言及される宣伝の対象がソ連・東欧に限定されているのが少々残念に思われた。2018/08/20

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