内容説明
文化外交が、いつも相互理解の手段であるとは限らない。それは非政治的な外套をまとっていても、つねに「観衆」を意識し、その心をとらえようとする権力的な動機に支えられている。まるで演劇が上演されるように、国家は競いあって自らの文化的魅力を発信するのである。本書は、戦後イギリスのプロパガンダの系譜を解明することで、このような国際政治の演劇性を描くものである。
目次
序章 冷戦・プロパガンダ・演劇性
第1章 労働党政権と対ソ政策の模索―路線対立の止揚と冷戦コンセンサスの成立
第2章 戦後ヨーロッパと同盟の文化的基盤―「イギリスの投影」から「同盟の投影」へ
第3章 対ソ文化発信と表象の政治学―文化的な広報誌の政治的な帰結
第4章 東欧の共産化と補完するプロパガンダ―BC、BBC、大使館の役割分担
第5章 ヨーロッパ統合と亡命者プロパガンダ―亡命者のヨーロッパ統合運動と冷戦
第6章 国内冷戦と「抱擁」関係―政府・市民社会の密接な関係
第7章 社会管理体制と「規律」の作用―文化攻勢の波とソ連関係委員会
第8章 啓蒙とスペクタクルの文化交流―英ソ文化交流の政治学
終章 冷戦の演劇性とその後
著者等紹介
齋藤嘉臣[サイトウヨシオミ]
1976年生まれ。神戸大学法学部を卒業。神戸大学大学院法学研究科博士課程を修了、博士(政治学)を取得。京都大学大学院法学研究科21世紀COE研究員、学術振興会特別研究員、金沢大学人間社会研究域法学系准教授などを経て、京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。専門は国際政治学、イギリス外交史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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