内容説明
現代政治学の必読文献をシリーズ化。なぜ、歴史は重要か?社会科学のフロンティアを切り拓いた画期的著作をついに完訳!「歴史は重要である」とよくいわれるが、どのような意味で重要なのか?合理的選択論の限界を示し、経路依存に光をあて、「時間」の重要性を明らかにする。
目次
序章 政治を時間のなかにおく
第1章 正のフィードバックと経路依存
第2章 タイミングと配列
第3章 長期的過程
第4章 制度設計の限界
第5章 制度発展
終章 社会科学研究における時間的文脈
著者等紹介
ピアソン,ポール[ピアソン,ポール][Pierson,Paul]
1959年、アメリカ合衆国オレゴン州生まれ。1981年にオベリン大学を卒業、89年にイェール大学でPh.D.(政治学)を取得。その後、ハーヴァード大学政治学部を経て、現在、カリフォルニア大学バークレー校政治学部教授。専門はアメリカ政治、比較政治経済、社会科学方法論
粕谷祐子[カスヤユウコ]
慶應義塾大学法学部を卒業。カリフォルニア大学サンディエゴ校博士課程修了、Ph.D.(国際政治)を取得。日本学術振興会特別研究員などを経て、慶應義塾大学法学部准教授。専門は比較政治、フィリピン研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひばりん
8
政治学に長期観察≒歴史学的視点の必要性と方法を説いた定番の名著。たとえば、短期観察では、政策決定の中心アクターが「政治家」に見えたとしても、長期観察すると「官僚」のほうが中心にいるのがわかるケースがままある。官僚が政治家を担ぐ構造ならそうなるのだ。こうした意外な長期的経緯を発見することが、政治学をジャーナリズムより高次の認識に導く。ちなみに、原因/影響に対してそれぞれ短期/長期を当てはめた4分類があり、使い勝手がよい。本書で挙げられている例は「竜巻(短短)・地震(長短)・隕石(短長)・温暖化(長長)」。2020/03/15
ぽん教授(非実在系)
3
経路依存・フィードバックといった制度と時間の関係性を扱うことで、単純な機能主義や合理的選択論を批判する。従来歴史家が得意としていた手法を社会科学風に翻訳して、新たに提示するため人文と社会科学どちらの人が読んでも有用であろう。ダグラス・ノースやフェルナン・ブローデルの偉大さがわかる。2019/04/23
中将(予備役)
1
社会科学分野における歴史の重要性を、具体例を挙げながら説いた本。思った以上に難しかったが、4, 5章の「制度」を分析対象とした論考は面白かった。2024/03/08
Ra
1
社会科学分野の研究において「歴史は重要である。では、どんな意味で重要なのか?」との問いに答える本。制度の生成・発展を「静止画」として捉えがちな合理的選択論に対するアンチテーゼとして、豊富な事例紹介とともに、長期性・動態性の考慮の必要性を説くものであり、説得力がある。2023/05/07
Alpaca1121
1
経路依存性や制度発展(自己強化)について、修論執筆前に読んでおくべきだったと後悔…。結果、僕の修論は著者が批判するアクター中心機能主義的な前提に立った主張に終始したものとなってしまった。