出版社内容情報
ポストモダン思想は現代教育学に何をもたらしたのか。教育哲学・教育思想史・教育実践の3点から、教育学の新たな展開を描き出す。戦後日本の教育学は近代をどのように理解し、ポストモダニズムをいかに受容したのか。また、1970?80年代にかけて隆盛し90年代に一世を風靡した近代批判の思潮は、教育学に何をもたらしたのか。戦後から現在に至る教育学の変遷と、ポストモダン以後の教育思想・教育哲学の新動向を描き出し、教育と教育学の未来を展望する。
まえがき
序章 教育思想とポストモダン
一 教育学とポストモダン
二 ポストモダンとポストモダニズム
三 教育学のポストモダン思想
四 本書の対象と範囲
第一章 ポストモダニズムと規範の喪失?─教育哲学のポストモダン思想受容
はじめに─忘却のポストモダニズム
一 スケープ・ゴートとしてのポストモダニズム
二 密教としてのポストモダニズム
三 規範主義の継続
四 パフォーマティヴではなくコンスタティヴに
五 ポストモダニズムの大いなる遺産
結語に代えて─血肉化されたポストモダニズム
第二章 近代批判、未完のプロジェクト─教育哲学は近代をどう論じてきたか
はじめに─教育哲学における近代論の展開
一 アイロニーとしての近代─一九六〇年代
二 近代主義の登場─一九七〇年代
三 近代主義の全盛─一九八〇年代
四 近代批判の展開─一九九〇年代
五 近代批判を超えて─二〇〇〇年代
結語に代えて─近代批判、未完のプロジェクト
第三章 近代教育学批判とは何だったのか─教育思想史の課題と方法に寄せて
はじめに─忘却の誘惑に抗して
一 なぜ「近代」の「思想史」なのか?
二 「戦後教育学の近代」批判
三 教育思想史から教育人間学へ?─近代教育学批判の展開
四 近代教育学批判のアクチュアリティ
結語に代えて─省察と対話の近代教育学批判
第四章 言語論的転回以後の教育思想史─あるいは、ポストモダニズムの何がいけないのか
はじめに─ポストモダンを経てなお教育批判は可能か?
一 教育思想は批判の根拠たり得たのか?
二 言語論的転回以後の教育思想史─語られなかったルール
三 「言語論的転回以後の教育思想史」のこれから─再び歴史へ
結語に代えて─〈根源的に失われた何か〉への距離
第五章 教育哲学と教育実践、その関係性の転換─見失われた啓蒙のゆくえ
はじめに─啓蒙のゆくえ
一 戦後教育学と教育実践─マルクスの呪縛を離れて
二 モノローグからダイアローグへ─教育哲学の変容
三 新たな関係性のために─場所、テクスト、臨床
結語に代えて─理論‐実践の媒介者を育てる
第六章 国民の教育権論をフーコーで組み替える─道徳の教科化にどう向き合うか
はじめに─「戦後レジームの終焉」と戦後教育学批判
一 戦後教育学パラダイムの形成と継承
二 国民の教育権論の限界とその呪縛
三 統治としての近代教育とその批判
結語に代えて─教育を変革する回路
終章 戦後教育学を超えて
一 戦後教育学から冷戦後教育学へ
二 近代批判のゆくえ
三 教育思想から社会思想へ
あとがき
索引
初出一覧
下司 晶[ゲシ アキラ]
下司 晶(げし あきら)
1971年生まれ。中央大学大学院文学研究科教育学専攻博士後期課程単位取得退学. 博士(教育学). 現在, 日本大学文理学部教授(教育哲学・教育思想史). 主著:『<精神分析的子ども>の誕生――フロイト主義と教育言説』(東京大学出版会, 2006年), 『「甘え」と「自律」の教育学――ケア・道徳・関係性』(編著, 世職書房, 2015年), 『教員養成を問いなおす――制度・実践・思想』(共編著, 東洋館出版社, 2016年), 『教員養成を哲学する――教育哲学に何ができるか』(共編著, 東信堂, 2014年), 『教育思想史で読む現代教育』(分担執筆, 勁草書房, 2013年)ほか.
内容説明
ポストモダン思想は教育学に何をもたらしたのか。戦後から現在に至る教育学の変遷と、ポストモダン以後の教育思想・教育哲学の新動向を描き出し、教育と教育学の未来を展望する。
目次
序章 教育思想とポストモダン
第1章 ポストモダニズムと規範の喪失?―教育哲学のポストモダン思想受容
第2章 近代批判、未完のプロジェクト―教育哲学は近代をどう論じてきたか
第3章 近代教育学批判とは何だったのか―教育思想史の課題と方法に寄せて
第4章 言語論的転回以後の教育思想史―あるいは、ポストモダニズムの何がいけないのか
第5章 教育哲学と教育実践、その関係性の転換―見失われた啓蒙のゆくえ
第6章 国民の教育権論をフーコーで組み替える―道徳の教科化にどう向き合うか
終章 戦後教育学を超えて
著者等紹介
下司晶[ゲシアキラ]
1971年生まれ。中央大学大学院文学研究科教育学専攻博士後期課程単位取得退学。博士(教育学)。現在、日本大学文理学部教授(教育哲学・教育思想史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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入江・ろばーと
有智 麻耶