出版社内容情報
小学校での英語教育導入や企業の英語公用語化の動きに代表されるように、国際語としての英語への関心や必要性はますます高まっている。本書は英語を中心とした外国語の学習と使用を題材に、言語心理学にまつわる概念や現象を解説し、二つの言語を使うこと、つまりバイリンガリズムについて考えながら、言語と認知の関係を解き明かす。
内容説明
外国語を使っている頭の中では、一体何が起こっているのか?脳の働きや認知過程の解明を通して、バイリンガルの心の仕組みを探る。
目次
序章 バイリンガリズムと現代
第1章 日本と世界の二言語・多言語使用事情
第2章 バイリンガリズム、第二言語の認知的メカニズム
第3章 一つの言語を使っているとき、もう一つの言語プロセスは停止しているのか
第4章 外国語副作用―認知資源の配分と外国語使用
第5章 脳機能から見たバイリンガルの言語処理
第6章 なぜ外国語を身につけるのは難しいのか―言語の臨界期と外国語習得
第7章 外国語を話すと人が変わる?
第8章 バイリンガルは頭がいい?
著者等紹介
森島泰則[モリシマヤスノリ]
1958年、静岡県生まれ。1996年、コロラド大学大学院博士課程修了、Ph.D.(Psychology)。中学校教諭(英語)、日系企業研究員、スタンフォード大学客員研究員を経て、国際基督教大学教養学部教授(心理学)。専門は、認知心理学、とくに、第一、第二言語の文章理解(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nobu A
5
職場での書籍販売で購入した本。図書館で借りる時は無駄骨がないように出版年や著者を確認するが、信頼出来るところだったので何も見ず、タイトルに惹かれて手に取った。著者は何と現勤務先の心理学教授!内容的には取り立てて新しいことはなかったが、いい復習になった。英語の早期導入にも触れてあり、英語教育が不十分な教員や1クラス30名のクラスサイズの問題点を指摘する際、英語教育で高い評価を受けているICUでさえクラス規模は20名。それを洗練された教員がきめ細かい指導を行っていると何気にアピールしているところがいい。2016/03/11
DNK
0
認知資源の話が興味深かった。母語でない言語では文章の読解により多くの認知資源を割くため、文章の整合性判断や情動的な解釈をするところまで認知資源を回せず、母語のときと同じ意味の文章を読んでも異なる判断をする。確かに早期から本格的な外国語教育をするのは重要だけど、日本語力を落とした結果、何語でも深い思考ができなくなることは最も警戒すべきことだよな、と思った。「読める」と「無意識に読んで理解できる」の間には大きな隔たりがあることがわかった。2024/09/29
コバ
0
バイリンガルの認知や知能についてざっくりと紹介している。 第二外国語をネイティブのように身につけるのなら、やはり早期の学習が大事そうだ。2024/06/02