出版社内容情報
なぜ今「小一の壁」が注目されているのか。子どもが学校に通い始めるときの課題とは何か。保護者調査により実状を明らかにする。
子どもが学校に通い始める際、保護者と子どもはどのような経験をし、そこにはいかなる問題が生じているのか。幼児教育と就学にかかわる接続の課題が「小一の壁」として注目されるようになった社会的経緯を明らかにしつつ、保護者へ調査により、その実相を描き出す。家庭と学校との接続、社会保障の新たなあり方について提言も行う。
内容説明
なぜいま「小一の壁」が注目されているのか。「小一の壁」が社会問題化した背景を明らかにし、就学をめぐる家庭と学校の関係、ならびに家庭と国や社会との関係について、社会学的に検討する。
目次
序章 「小一の壁」への関心の高まり
一章 就学の二つの意味と日本の就学制度
二章 就学に関する社会学的研究と本書のねらい
三章 就学問題の社会的構築―小一プロブレムと小一の壁
四章 小一の壁の実相―就労する保護者が抱える多様な困難
五章 ひとり親世帯の保護者にとっての就学
六章 特別支援学級に就学した子どもを持つ保護者
七章 コロナ禍における就学
八章 学校選択制を敷くイギリスでの就学
終章 保護者と子どもが安心して就学を迎えるために
著者等紹介
酒井朗[サカイアキラ]
東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。現在:上智大学総合人間科学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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お抹茶
3
インタビューを通して,保護者の困難を記す。1990年代末に社会問題化した小一プロブレムは,学級崩壊などの学校不適応問題を学校や文部科学省が問題化したのに対し,小一の壁は,就労する保護者と女性労働力活用を図る首相サイドからのクレイムとして展開された。保育園と小学校では,親と先生の人間関係は大きく異なり,小学校の担任とは近い会話ができず,子供の学校での様子がわかりにくい。文部科学省からは教育の高度化のために家庭での教育の充実を求める一方,首相サイドからは母親の就労が求められ,母親が就労と教育双方の役割を担う。2025/04/08
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