出版社内容情報
「ホリスティック」を鍵概念とし、哲学思想、臨床教育、オルタナティブスクール、多文化共生教育などの重要課題を多角的に検討する。
「ホリスティック」(holistic)は、whole、heal、holyなどに共通するギリシア語holosを語源とし、一般に「全体的/包括的/総体的/全体論的」といった訳が充てられる。本書はホリスティック思想を歴史的に繙き解説しつつ、ホリスティック教育研究の現在地を多様な執筆陣が考察する。
内容説明
混迷の時代に鍛え直す思想と実践。「ホリスティック」な教育やケアをキーワードに、現代の重要課題について、哲学思想、臨床教育、ESD(持続可能な開発のための教育)、多文化共生教育など、分野を超えた研究者=実践者が検討を行い、ホリスティック教育/ケアの現在地を明らかにする。
目次
ホリスティック・アプローチとは何か―定義、理論モデル、人類史的意義
1 共生/ESD/多文化(教育の人類中心主義を問い直す―再想像力ではぐくむ惑星意識;コモナリティから考えるホールスクール・アプローチ―社会変容をもたらす「共」のふるまい;ホリスティックな多文化共生教育―脱植民地化の視点から考える)
2 癒し/対話/超越性(対話主義は何を恢復するか―水平方向および垂直方向のポリフォニーの観点から;「癒すこと」としての教育と調和―シュタイナー教育思想における「健康」概念に着目して;多様性の受容における超越性の意義―Ch.テイラーからみたR.シュタイナーの地平論)
3 全体性/国家/平和(「全体性」という困難―エマニュエル・レヴィナス『全体性と無限』を中心に;教師が国家という「全体」と向き合うための一つのレッスン―戦中の木村素衞による「意味の争奪戦」の戦い方;「ホーリズム」再考―提唱者にして国連憲章前文の起草者スマツッツに遡って)
教育・看護分野での動向(看護分野におけるホリスティック・アプローチの概観―国際動向を中心に;日本を中心とした「ホリスティック教育」の30年)
著者等紹介
吉田敦彦[ヨシダアツヒコ]
京都大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学、博士(教育学)。現在:大阪公立大学現代システム科学域教育福祉学類教授
河野桃子[コウノモモコ]
東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学、博士(教育学)。現在:日本大学文理学部教育学科准教授
孫美幸[ソンミヘン]
立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。現在:文教大学国際学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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