出版社内容情報
戦後、いかなる教育学説・教育論争が展開されてきたのか。史的唯物論と教育学の関係を紐解きつつ、画期となる理論や論争を検討する。戦後日本の教育改革期に隆盛したマルクスの史的唯物論に着目し、それが教育学説に与えた影響を論述する。また、1950年以降に展開された教育科学論争やコア・カリキュラム論争史を検討するとともに、教育改革にかかわる教育イデオロギーの分析を行う。教育学研究の方法論を深く探究し、戦後教育学の歴史を捉える際の貴重な一冊。
序
序章 史的唯物論と教育科学
第一節 弁証法的方法
第二節 史的唯物論の定式と教育
第?部 戦後日本の教育科学論争
第一章 戦後初期の教育科学論
はじめに
第一節 戦時下の教育本質論
第二節 戦後初期の教育科学論
第三節 「生産力の再生産」論争
まとめ─残された課題
第二章 教育科学論争の諸前提
はじめに
第一節 戦後教育改革と教育学─その一断面
第二節 コア・カリキュラム論争と「生産力の理論」
第三節 スターリンの言語学論文と「海後理論」
まとめ
第三章 「教育構造論争」の分析
はじめに
第一節 海後理論の理論史的位置
第二節 「土台における教育」と「上部構造としての教育」─論争の第一段階=論文「資本主義の発展と教育上の諸法則」をめぐる論争
第三節 「教育上部構造論」批判と「生産力理論」批判─論争の第二段階=『教育科学入門』をめぐる論争
第四節 スターリン批判後の教育構造論─論争の第三段階=「教育構造論争」の総括
まとめ
〔補論一〕清水義弘の「教育=上部構造論」批判について
〔補論二〕中野徹三の生活過程論と「教育=上部構造」批判について
第?部 教育科学論の展開
第四章 人間形成の物質的基礎
はじめに
第一節 人間形成論をめぐる若干の理論的問題
第二節 人間形成の物質的基礎
第三節 人格論の社会的基礎─二宮厚美の所論の検討
第五章 阿部重孝の学校制度論
はじめに
第一節 制度化せる教育
第二節 教育と社会
第三節 阿部重孝の学校制度論の歴史的性格─阿部重孝の学制改革案について
まとめ
第六章 教育改革と教育科学
はじめに
第一節 戦後教育改革理念と戦前日本の教育科学
第二節 戦後日本資本主義と現代公教育体制
第三節 中央教育審議会一九七一年答申と教育制度検討委員会報告書
第四節 教育制度検討委員会報告書と今日の教育改革論
まとめ─現代教育改革論と教育科学の課題
第七章 現代日本における教育政策分析の課題と方法
はじめに
第一節 国民の教育権論の生成と展開
第二節 能力主義教育と管理主義教育
第三節 新自由主義と宗像理論批判
第四節 新自由主義の破綻と教育財政
まとめ─教育基本法体制の現代的再生、その可能性と必然性
あとがき
初出一覧
【付表】「教育構造論争」文献一覧(一九四七年?一九六〇年)
【付録】「教育構造論争」に関する那須野隆一ノート
事項索引
人名索引
井深 雄二[イブカ ユウジ]
井深 雄二(いぶか ゆうじ)
1952年長野県に生まれる。1974年名古屋大学教育学部卒業。1980年名古屋大学大学院教育学研究科単位取得満期退学。2002年博士(教育学)。
現在:奈良教育大学教授
著書:『現代日本の教育改革―教育の私事化と公共性の再建』 自治体研究社、2000年
『資料で読む教育と教育行政』(共著) 勁草書房、2002年
『近代日本教育費政策史―義務教育費国庫負担政策の展開』 勁草書房、2004年
『テキスト 教育と教育行政』(共著) 勁草書房、2015年
内容説明
戦後、いかなる教育学説・教育論争が展開されてきたのか。史的唯物論と教育学の関係を紐解きつつ、画期となる理論や論争を検討する。
目次
史的唯物論と教育科学
第1部 戦後日本の教育科学論争(戦後初期の教育科学論;教育科学論争の諸前提;「教育構造論争」の分析)
第2部 教育科学論の展開(人間形成の物質的基礎;阿部重孝の学校制度論;教育改革と教育科学;現代日本における教育政策分析の課題と方法)
著者等紹介
井深雄二[イブカユウジ]
1952年長野県に生まれる。1974年名古屋大学教育学部卒業。1980年名古屋大学大学院教育学研究科単位取得満期退学。2002年博士(教育学)。現在、奈良教育大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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