出版社内容情報
大学生ボランティアを中心にNPO法人を組織し、商業高校生に進学支援を行なった実践記録。生徒の進路意識生成の背景を分析し、支援による意識の変容過程を描く。
確固たる進路意識も持たず、進路未定のまま高校を卒業する若者も増えている。大学生が「進路多様校」といわれる教育現場に入り込み、実際に高校生とコミットするなかで、彼らの進路意識を社会的背景のもと構築された一つの物語として捉える。支援する側・される側双方の意識の変容と、臨床的なアクションリサーチの可能性を論じる。
[関連書] 同編著者 『教育の社会学』 (有斐閣)
序 章 進路選択への支援の必要性
1 「インセンティブ・ディバイド」の中で
2 教育臨床社会学の試み
3 アクションリサーチとしての支援
4 理論枠組みとしての社会構成主義
5 臨床研究のスタンス
第一章 望見商のこれまでと進路指導の取り組み
1 進路多様校に位置づく望見商
2 進路選択支援のためのボランティア導入まで
3 支援活動の概要
第二章 望見商生の進路の物語
1 進路の物語
2 起点・テーマ・対比
3 インタビュー調査の概要
4 三つのタイプの物語
5 タイプによるナラティブ構造の違い
6 「進路の物語」にみる望見商生の特徴
7 語りの違いをもたらす文脈
8 かれらは投げやりか?
第三章 進路意識の変容――「あきらめ」・「考えない」から「ゆらぎ」へ
1 継続的な関わりから見えてきたもの
2 女子生徒の進路選択過程
3 進路指導としての評価と可能性
4 「あきらめ」・「考えない」から「ゆらぎ」へ
第四章 転機の存在とジェンダーの影響
1 「ジェンダーと進路」研究の新たな課題
2 チャレンジャーの女子
3 呪縛の男子
4 アイデンティティ問題と進路選択
第五章 中国系生徒の進路意識と進路選択支援の課題
1 「直前来日型」と「早期来日型」
2 高校生ニューカマーが抱える独自の困難
3 三名の中国系生徒の進路選択過程
4 「進路の物語」の再構成過程とボランティアのかかわり
5 ニューカマー生徒に対する支援の課題
第六章 ボランティアの学びと成長
1 NPOの教育力
2 ボランティアからみた支援活動
3 中心的メンバーへのインタビュー
4 ボランティアの成長過程
第七章 望見商の歴史的位相
──九〇年代以降の労働市場と接続関係の変化
1 商業高校の歴史的経緯とその制度的変容
2 望見商と堅田商
3 両校の進路指導の違い
4 自主性尊重型学校と伝統的指導型学校
――学校存立メカニズムの観点から
5 まとめ
終 章 リスクを抱えた生徒への指導・支援
1 リスクの高い高校生の進路意識
2 求められる指導・支援とは
3 アクションリサーチの成果と意義
4 教育臨床社会学の可能性
5 おわりに
あとがき
引用文献
索 引
内容説明
あきらめ・考えないからゆらぎ・転機へ。生徒の進路意識が生成される背景と支援による意識の変容を捉える。
目次
序章 進路選択への支援の必要性
第1章 望見商のこれまでと進路指導の取り組み
第2章 望見商生の進路の物語
第3章 進路意識の変容―「あきらめ」・「考えない」から「ゆらぎ」へ
第4章 転機の存在とジェンダーの影響
第5章 中国系生徒の進路意識と進路選択支援の課題
第6章 ボランティアの学びと成長
第7章 望見商の歴史的位相―九〇年代以降の労働市場と接続関係の変化
終章 リスクを抱えた生徒への指導・支援
著者等紹介
酒井朗[サカイアキラ]
1961年生まれ。1991年東京大学大学院教育学研究科教育学専攻博士課程単位取得退学。お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター教授、同センター長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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