内容説明
ネアンデルタール人が絶滅し、どうしてわれわれ人類だけがこれほどまでに豊かな文化を進化させ、繁栄することができたのか。人類進化の謎を長年追い続けてきた、エキセントリックな哲学者による渾身の著作。
目次
第1章 新奇性という難題
第2章 認知資本の蓄積
第3章 適応した個体と適応した環境
第4章 人間の協力行動様式
第5章 コストとコミットメント
第6章 信号、協力、学習
第7章 技能から規範へ
第8章 協力と対立
著者等紹介
ステレルニー,キム[ステレルニー,キム] [Sterelny,Kim]
1950年、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州生まれ。1977年、シドニー大学Ph.D.オーストラリア国立大学社会科学研究所およびヴィクトリア大学ウィリントン校の教授を兼任
田中泉吏[タナカセンジ]
1980年、静岡県生まれ。2008年、京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(哲学)。慶應義塾大学文学部非常勤講師・訪問研究員
中尾央[ナカオヒサシ]
1982年、奈良県生まれ。2013年、文学博士(京都大学)。総合研究大学院大学先導科学研究科助教
源河亨[ゲンカトオル]
1985年、沖縄県生まれ。慶應義塾大学文学研究科博士課程。同研究科非常勤助教(有期・研究奨励)
菅原裕輝[スガワラユウキ]
1987年、秋田県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takao
2
ふむ2023/11/26
borisbear
2
本書の主題は「人間の認知進化の根本原因」である。人類が社会的文化継承により発展し、個体レベルでは社会適応能力によって選択され、認知進化を加速したという点で、著者は最近の主流的見解と一致する。主流的見解と一致しないのは、協力において情報弱者として搾取されないことを過度に重視する「認知的軍拡競争モデル」に批判的な点である。それよりも教育と学習の方がはるかに重要で、狩猟等集団採食に必要なスキル(動植物の知識や道具作成など)の難易度を多くの既存理論は過小評価している。2019/03/26