内容説明
20世紀の歴史の哲学を主導した「歴史の物語論」。その限界を確定し、見落とされてきた歴史の構造を浮き彫りにすることで、新たな歴史の哲学を素描する。
目次
第1章 なぜ物語論なのか
第2章 物語の基本構造
第3章 哲学としての物語論
第4章 物語の限界
第5章 国民国家と歴史
第6章 物語的ではない歴史記述の可能性
第7章 歴史の基底
第8章 複雑系としての歴史システム
第9章 歴史哲学の書き換え
著者等紹介
貫成人[ヌキシゲト]
1956年神奈川県に生まれる。1985年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。現在、専修大学文学部教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
6
リクールやカント、フーコー、ブローデルらを参照した歴史哲学。やや散漫な印象。「リクールによる批判の論点は『地中海』が非物語的に見えるとしても、それは表面上のことにすぎないという点にある。…地理的環境と人間活動、出来事史という三層は、通常なら、異質なものを統合する物語の機能によってひとつにまとめあげられるべき三つの次元が、あえて分離された結果にすぎず、これをリクールは「準ー筋立て」とよぶ。リクールによれば…第ニ層の経済社会史的記述は、グラナダ陥落などの出来事や行為に言及することなしには成立しない。」2022/08/10
ポカホンタス
4
フッサールの専門家による物語論的歴史観批判。「歴史は物語である」というテーゼになんとなく違和感を感じ続けてきたが、その違和感を明確に論じてくれていて、大変勉強になった。フーコー、ブローデル、ウォーラーステイン ドゥルーズ、複雑系にまで議論が展開されつつ現象学のエッセンスはキープされているので肌で感じるような理解ができた気がする。2017/08/09
T
1
歴史の物語論には問題がある。 始まりから終わりに向かっていく物語論は単線的な歴史しか許容しえない。筆者は物語論を「起源の神話」、「連続的同一性」への過度な崇拝であると批判し、物語論が主張する単線的な歴史をも含むことができるような、複線的な歴史記述の可能性を考える。 中世日本史を専門とする父を持ち、フーコーの研究者である筆者による歴史哲学。 野家氏の本と併せて読むべき。2019/02/07
ステビア
1
面白い。領域横断的。2013/06/16
sk
1
野家啓一『物語の哲学』を読んだ後に読むとvery good!2013/06/14
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