出版社内容情報
ヤコブソンはクルテネ,クルシェフスキー,フッサール,パースに負って思想形成を行った。晩年の言語・記号論思想の概観である本書は格好のヤコブソン入門書。
【目次】
序
記号論の発達略史
パース管見
言語科学の先達
中世の言語科学的洞察に関する傍注
ヨーロッパおよびアメリカの言語学における20世紀
さまざまの動向と連続性
言語学の問題としてのメタ言語
言語学の角度から見た言語障害
意識と無意識の問題への言語学的アプローチについて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
著者はシャノン-ウィーバーのコミュニケーションモデルの、送-受信間にノイズが侵入するchannel部分にコード(範列)とメッセージ(連辞/表層)とコード(範列.深層)の軸を立て、上から指示的・詩的・交話的・メタ言語的機能へと層化し、送信者が焦点化される喚情的機能、受信者が焦点化される働きかけ機能を加えて6機能のチャネルを設けた。また、言葉を交わす背景には意識されないコードのやりとりがあると考える著者は、これらのやりとりが危機になると現れ、言語規則や言語体系を見直すメタ言語機能に言語システムの特徴を見出す。2021/11/29