出版社内容情報
古来より現代に至るまで人間と深くかかわってきている人形。美学的哲学的アプローチから人間の情念の相関者,人形の占める位置を明確にしたユニークな書。
【目次】
Ⅰ 人形と情念
Ⅱ 人形と彫像
Ⅲ 人形と衣裳
Ⅳ 人形とロボット
Ⅴ 人形と祭礼
Ⅵ 人形の空間と神の空間
Ⅶ 人形と愛玩動物
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
有智 麻耶
1
本書は、人形美学という学問領域を開拓した研究である。「人形は、人間の情念の相関者であり、とりわけ愛と憎しみという人間の情念の相関者である」(5)という観点から、人形と彫刻や衣裳、ロボット、祭礼、空間、愛玩動物(ペット)との関わりが探求されている。全体的に試論としての性格が強く、一方で幅広い主題が取り扱われているが、他方でとっ散らかった印象を与えるかもしれない。しかし、そうはいっても人形研究にとって、いまや古典ともいえる重要な一冊だと思う。このバトンは、たとえば菊地浩平によって引き継がれている。2024/07/30