出版社内容情報
デカルトの方法論的思考には言葉が思考に反作用することを軽く見る欠陥があった。その後、思考は言葉でする計算にすぎないとの主張まで現われた。それに対し、言葉以前にも確率論的な思考があるとするヒュームもいた。言葉の上だけの思考、言葉の下の単なる直感ではない、今日での本当の意味での思考がどのようなものかを論じる。
内容説明
哲学とは寓話ではなく対話である。哲学者たちとの対話を通じて「思考すること」を思考する。言葉の上での思考と言葉以前の思考とを、どうしたら調停できるのか。
目次
第1章 デカルト的思考―「わたしは思考する、それゆえにわたしは存在する」という言葉は有名であるが、正確にはどのようなことを意味するのだろうか。
第2章 なぜひとは間違えるのか―誤謬は知識の不足によるだけでなく、もっと積極的な、言葉が関与する要因があるのではないだろうか。
第3章 言語論の歴史―デカルト以降、思考に影響を与えるものとして、言語がどのようにして成立したのかが探求されはじめた。
第4章 思考に先立つ言葉―「言葉とは何か」についての答えが出ないのは、言葉についての思考、また言葉自身が政治的なものを巻き込んでいるからではないか。
第5章 言葉に先立つ思考―言語表現にそのまま表わされる思考はないとすれば、思考を言葉以前の経験に求めるほかはないのではないか。
第6章 蓋然性と言語―言葉以前の経験がどのようにして言語に出会い、言語のもとでしか思考できなくなるのか、言語のもとでどのような経験をすべきなのか。
著者等紹介
船木亨[フナキトオル]
1952年東京都生まれ。東京大博士(文学)。東京大学大学院人文科学研究科(倫理学専攻)博士課程修了。専修大学文学部哲学科教授、放送大学客員教授。専攻はフランス現代哲学、18世紀哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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