内容説明
知覚、行為、思考に属するものは全て記号論的に把握され記述されうる。あらゆる領域での適用装置として一般記号学を展開。
目次
序 記号論の歴史概観―プラトンから現代まで
1 パースの基礎理論(基礎となるカテゴリー;三項関係としての記号;記号連関;三項関係としての記号クラス;三分法と包摂段階;記号テーマ措定と実在テーマ措定;大マトリックスによる下位記号の区別)
2 基礎理論の拡大(記号機能;記号操作;記号対象;記号過程;記号体系;記号空間;状況・環境・チャンネル;記号およびコミュニケーションのグラフ理論的な特徴;編成・情報・伝達の媒体としての記号)
3 記号論の適用(記号論と美学;記号論とデザイン;記号論と建築;記号論と数学)
4 総括と展望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
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膨大な草稿の形で残ったパースの思想を論じる場合、プラグマティズム、論理、記号のような目立つ筋立てを抽出しがちだ。が、本書はパースがそれら領域以前のカテゴリー表作成に注目し、そのトポロジカルな連続性と三項関係の展開として諸領域を捉え直して、パース理論の一般化と応用に乗り出す。本書が出版された1970年代、著者とその夫M・ベンゼの念頭には人工知能研究があり、彼らバウハウスの後継者には情報からの美の捉え直しが急務だった。本書は、パースの記号論を数学的行為を基盤とする発見の科学とし、美学やデザイン理論へ拡大する。2017/08/27
惰眠(Damin)
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(ちら読み):ソシュールやレヴィ=ストロースあるいは構造主義的な精神分析の記号学が真に普遍的な理論には至っていないとして、包括的な記号の学を形成しようと試みられた著作。そのときによりどころとなるのはやはりパースである。序盤に記号の歴史についての整理があり、文章量がさかれているのはボルツァーノのほかに、ライプニッツ。普遍的な記号の学といえばやはり彼でしょうか。最後のほうには応用編として美学やデザインについての言及もありますがよくわからず。機会があれば読みます。2014/10/21