出版社内容情報
本書は『ソクラテスの弁明』を中心とするプラトンの初期対話篇から『国家』に至る作品を読み,倫理学の基本問題に照明を当てようとするものである。
目次
Ⅰ 倫理学の始めとしてのソクラテス
第1章 「行為の正しさ」と「神への服従」
1 問題の所在
2 『エウチュプロン』における権威の問題
3 『クリトン』における「ロゴスの立場」
4 『弁明』における「神への服従」
5 「説得」の途
第2章 ”人間並みの知恵”としてのアレテー観
1 解釈の前提
2 A.E.テイラーの解釈
3 基本的な問題と論争点
4 『弁明』での”人間並みの知恵”
5 『クリトン』の検討
6 二つのアレテー観
7 「徳は知なり」の二つの文脈
8 前途瞥見
第3章 正しさに裏づけられた友愛―『クリトン』読解―
1 起部(44b5~46a8)
2 承部(46b1~48b10)
3 転部(48b11~49e8)
4 結部(49e9~54d1)
Ⅱ ソクラテスの探求の方法
第4章 ことばの中での探求
1 『パイドン』全体を導く問題
2 「第二の航海」に至る過程
3 「第二の航海」の導入
4 「第二の航海」の意義
第5章 ことばによる現われ
1 「仮設法の形式的解釈」の反駁
2 所謂「範型イデア」について
第6章 魂不滅の論証―『パイドン』102a~107b―
1 魂不死の証明議論(102a~105e)
2 魂不滅の証明議論(105e~107b)
3 若干の診断
付論 一つの書評
Ⅲ 「善き生とは何か」―ソクラテスからプラトンへ―
第7章 「正義」と「幸福」
1 『国家』全篇の主題
2 取り組みの途筋
3 問いを支える戦略
4 正義と益
5 正義は<誰>を益するか
第8章 快楽説反駁
1 「善い、悪い」の対立
2 快楽説の立場
3 善き現象の成り立ち
4 イデア論の純化