内容説明
近代医学の創始者か、賢者の石を手にいれた錬金術の達人か?魔術・占星術とキリスト教の融合をめざして放浪するホーエンハイム。パラケルスス研究の最前線をここに!
目次
第1章 パラケルススの生涯―遍歴と著作
第2章 本草学的な伝統と錬金術―ルネサンス博物学の一面
第3章 物質のメタモルフォーゼ―化学哲学の源流
第4章 グアヤック批判と梅毒論からみる医学思想
第5章 予言書の位置づけ―占星術文化とキリスト教倫理から
第6章 ルネサンスの類似の概念と魔術的な空間
補遺 「徴」の理論
著者等紹介
菊地原洋平[キクチハラヨウヘイ]
科学史・科学論。九州工業大学、九州産業大学ほか非常勤講師。九州大学大学院比較社会文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。比較社会文化博士(九州大学、2010年)。第1回ミクロコスモス大賞受賞(2010年)
ヒロ・ヒライ[ヒロヒライ]
ルネサンス思想史。Early Science and Medicine誌副編集長。1999年より学術ウェブ・サイトbibliotheca hermeticaを主宰。同年にフランスのリール第三大学にて博士号(哲学・科学史)取得。その後、欧米各国の重要な研究機関における研究員を歴任。現在、オランダ・ナイメーヘン大学研究員。2012年に第九回日本学術振興会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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読書という航海の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
13
伝統医学の改革者、魔術師、錬金術師と言われるパラケルススの思想のエッセンスと言える1冊でしょう。神が世界を捏造したと唱え、秘密を解明するかの如く持論を展開していきます。ここから見えるのは、魔術とキリスト教の融合と自然の体験的理解でした。彼が理解しようとした世界は何だったのか、また生涯を通じて何を探求したのかを多角的に捕えているのが面白いです。勿論パラケルススのみの思想に限らず、16世紀末のドイツにおける知的・文化的・社会的コンテクストも考慮しています。全てを統合し、追求する世界に興味を持ちました。2014/02/02
いとう・しんご
8
西欧の安藤昌益かな、という感じで借りてみました。結論は読み通り。本書は、前近代の科学思考を探るという意図から、パラケルススの神話的思考を内側から丁寧に読み解こうとしているけど、ちょっとマニアック。2023/01/15
kaiinc
2
「フィリップス・アウレオールス・テオフラストゥス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイム、通称パラケルスス」漫画等でその名の一部を見ることが多いだろう人物。彼の思想の魔術的部分も医者としての世界認識や実践と不可分であると言う。「自然をくまなく研究する者は、自然という書物を自らの足で踏みしめなければならない。書物はその文字によって探求されるが、自然は地方から地方へ探求されなければならない。地方の数と頁の数は同じほど多い。これが自然というテクストである。それゆえ、人々はその頁をめくらなければならないのである」2014/06/26
emi kei
0
錬金術の方法とかを期待して読んだら、全く違った2022/06/03
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