出版社内容情報
道徳的直観と常識道徳を退け、我々は道徳について知ることはできないと主張。道徳的実践をめぐる虚構主義と廃絶論を吟味する。
道徳的知識の可能性を問うことが重要なのは、道徳がしばしば内省としてでなく他者への介入や非難として現れるからである。本書ではこれを形式的な道具立てによって精緻に問い、道徳について知ることは困難であると論じる。また道徳的実践をどうすべきかをめぐって、フィクションとしての道徳の再編成と道徳の廃絶の二つの道を探る。
内容説明
道徳的知識の存在を主張する既存のさまざまな理論を退け、形式的な道具立てによる精緻な議論によって道徳的真理は知ることができないとする道徳懐疑論を擁護。道徳的実践をめぐる虚構主義と廃絶論を吟味する。
目次
序章 道徳懐疑論にむけて
第1章 知識の実践性と注文の多い道徳
第2章 直観主義と自明性―直観主義の諸問題(1)
第3章 「現れ」としての直観―直観主義の諸問題(2)
第4章 常識道徳の退位
第5章 フィクションによるユートピアか廃絶か
著者等紹介
野上志学[ノガミシガク]
1990年岡山県生まれ。三重大学人文学部講師。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員DC2(東京大学人文社会系研究科)、同会特別研究員PD(一橋大学法学研究科)の後、現職。専門は分析哲学、研究関心はとくに社会的認識論およびメタ倫理学にある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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