出版社内容情報
政治哲学者チャールズ・テイラーは神学者になったのか? 主著『世俗の時代』を縦横に読み解き、テイラーの宗教論を明らかにする。
カトリックにして多元主義の政治思想家チャールズ・テイラーは、「世俗の時代」を生きる信仰について何を語ったのか。本書は、主著『世俗の時代』の読解を軸に、広範な主題群――認識論、政治哲学、言語論――にまたがるテイラーの思想を縦横に結びつけ、近年の宗教研究におけるその重要な位置を指し示す。
内容説明
政治哲学者チャールズ・テイラーは神学者になったのか?主著『世俗の時代』を縦横に読み解き、テイラーの宗教論を明らかにする。
目次
はじめに―チャールズ・テイラーと宗教
第1部 宗教(世俗化を語り直す―概念と歴史;今日の信仰の条件―多元主義のポリティクス;受肉と交わり―「回心」のゆくえ)
第2部 認識、政治、言語(認識論と宗教史―多元的で頑強な実在論;世俗主義の再定義―普遍性と翻訳をめぐる対話;象りと共鳴―言語の神秘について)
第3部 宗教学と世俗性(宗教学の倫理―アイロニーを超えて;「ポスト世俗」の諸相)
著者等紹介
坪光生雄[ツボコイクオ]
1989年、東京都生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。専門は宗教学・宗教哲学。現在、一橋大学大学院社会学研究科科研費フェロー、立教大学兼任講師、獨協大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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有智 麻耶
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テイラーの宗教論を主題とした、日本で最初の研究。第Ⅰ部では、大著『世俗の時代』の要約を提供するとともに、そこから「受肉」と「交わり」という二つのキーワードを抽出している。第Ⅱ部では、それらを分析視角として、テイラーの実在論や政治論、言語論について考察している。とくに、テイラーの言語論に関する研究はすくなく、これだけで読む意義があるといえる。第Ⅲ部では、テイラーの宗教論をより一般的な文脈に位置づけて評価を試みている。日本的な(ポスト?)世俗的状況について論及があり、総じてこれまでにないテイラー研究だった。2022/12/31