内容説明
『パサージュ論』の認識論的・政治的力が今ここによみがえる。ベンヤミン解釈のモダン・クラシックス、待望の刊行!
目次
第1章 時間的根源
第2章 空間の根源
第3章 自然史(博物学)―化石
第4章 神話的歴史―物神
第5章 神話的自然―願望形象
第6章 歴史的自然―廃墟
第7章 これは哲学か
第8章 大衆文化の夢の世界
第9章 唯物論的教育
著者等紹介
バック=モース,スーザン[バックモース,スーザン] [Buck‐Morss,Susan]
ジョージタウン大学芸術科学大学院修了、博士(思想史)。現在、ニューヨーク市立大学教授、コーネル大学名誉教授。専門は政治哲学、美学、比較文学
高井宏子[タカイヒロコ]
津田塾大学文学研究科後期博士課程満期退学。現在、大東文化大学准教授。専門は英文学、批評理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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「見ることの弁証法」とは、イメージの、唯一のコンテクストに決して収まりつかない性質を意味している。だから、ベンヤミンがイメージに加える注釈も、とくに完結した著作のかたちをとっていない『パサージュ論』の場合はとりわけ、両犠的なニュアンスをもっている。理論面では、ベンヤミンをマルクス主義やユダヤ神秘主義に還元する解釈を拒絶すると同時に、それを相対主義の疑義からも擁護する必要性を、著者は感じているようだ。その「見ることの弁証法」を、説明するというよりは読者に追体験させるかたちで書かれた第2部が秀逸。2017/02/06
いたま
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ベンヤミンの著作『パサージュ論』に関する研究書であるが、数あるパサージュ論に関する書籍の中では古典とされている本らしい。著者はベンヤミンのテキストや生涯に関する広範な事象を調べ上げ、およそベンヤミンが意図したであろうパサージュ論に一番近い読解を行っている。ベンヤミンの生涯に触れつつ、テキストの生成過程や主要概念を網羅している。内容も具体的で比較的わかりやすい。パサージュ論読解においては、必読の書と言える。2021/01/08