出版社内容情報
献体・献血から臓器提供まで、医療・医学研究への人体提供はどのような言説により制度化されてきたのか。現代のヒト組織利用につらなる言説構造を描き出す研究書。
解剖体や血液、臓器といった「資源」はどのように流通し供給されてきたのか。江戸末期から現在まで、その流通システム形成過程を追うことを通じ、ヒト組織利用に関し倫理的根拠とされる「善意による無償提供」「自己決定」といった言葉が、そもそも経済論(資源をいかに調達するか)の帰結であることを描き出す。議論に一石を投じる書。
[関連書] 小松美彦 『死は共鳴する』 (勁草書房刊)
序 章 ドネーションという事象系
第Ⅰ部 ドネーションの経済論――解剖台の定点観測より
第一章 ドネーションの歴史性
第二章 解剖の制度化と身体
第三章 戦前期における解剖体の経済論
第四章 戦後の「解剖体不足」と献体運動
第五章 躍動する「篤志」
第Ⅱ部 ドネーションの諸形態――ストック/バンク/ネットワーク
第六章 ドネーションと「人体」の形象
第七章 血液のバンキング
第八章 移植医療ネットワーク
第九章 ドネーションという統辞論
第Ⅲ部 ドネーション言説の展開――「起源」の忘却のなかで
第一〇章 「人体」のありか
第一一章 記述のなかのドネーション
注
参考文献
あとがき
参考資料
索引
内容説明
流通システム形成過程から炙り出される現代のヒト組織利用につらなる言説構造。解剖体や血液、臓器といった「資源」はどのように流通し供給されてきたのか。江戸末期から現在に至る「人体」流通システムを追いながら、「善意による無償提供」「自己決定」といったヒト組織利用に関する倫理的根拠が、そもそも資源調達の経済論的帰結にすぎないことを描き出す。
目次
ドネーションという事象系
第1部 ドネーションの経済論―解剖台の定点観測より(ドネーションの歴史性;解剖の制度化と身体;戦前期における解剖体の経済論;戦後の「解剖体不足」と献体運動)
第2部 ドネーションの諸形態―ストック/バンク/ネットワーク(ドネーションと「人体」の形象;血液のバンキング;移植医療ネットワーク;ドネーションという統辞論)
第3部 ドネーション言説の展開―「起源」の忘却のなかで(「人体」のありか;記述のなかのドネーション)
著者等紹介
香西豊子[コウザイトヨコ]
1973年生まれ。2005年東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学(相関社会科学コース)博士課程単位取得退学。2007年博士号(学術)取得。現在、日本学術振興会特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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