出版社内容情報
予言を教義の中心におく宗教グループの社会心理学的な実証研究である。予言がはずれたとき,このグループの布教活動がかえって活発化するという逆説的な現象を検証する。
内容
1 成就しなかった予言と失意のメシアたち
2 外宇宙からの教えと予言
3 地上に言葉を広める
4 長い間、指令を待って
5 救済のさい迫った四日間
6 成就しなかった予言と意気盛んな予言者
7 予言のはずれに対するリアクション
8 ひとりぼっちで渇ききって
エピローグ
方法論に関する付録
宗教思想に関連した人名および用語集
訳者解説
内容説明
大洪水にもならず、救出のためのUFOも来ない…そのとき、教団はどうなったか。「認知的不協和の理論」を検証する社会心理学の古典、堂々の完訳。
目次
第1章 成就しなかった予言と失意のメシアたち
第2章 外宇宙からの教えと予言
第3章 地上に言葉を広める
第4章 長い間、指令を待って
第5章 救済のさし迫った四日間
第6章 成就しなかった予言と意気盛んな予言者
第7章 予言のはずれに対するアクション
第8章 ひとりぼっちで渇ききって
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田氏
11
世界破滅を予言したある宗教(カルト?)集団に、社会学者らが秘密裏に潜入し、その予言が外れる前後の動向を観察した記録。先日読了したマシュー・サイド著「失敗の科学」の膨大な参考文献に挙げられていたひとつであり、同書のトピックの中でも特に認知的不協和について興味を持ったので、原典をあたってみた。思っていたよりも人びとの様子に主眼を置いて著述されており、分析的な学術書というよりもドキュメンタリーの色が濃い。総括はといえば本文よりむしろ訳者による解説が詳しく、知識として読む分にはそれだけでも用は足りるかもしれない。2018/08/14
うね
4
社会心理学の研究として終末予言信じてる団体に潜入して予言がはずれたときの信者の反応を観察するっていう1950年代に本当にあった真面目な学問の本なんだけど、この企画自体が楽しそすぎると思って読んだら、期待通りめちゃくちゃ面白かった。 こんな興味本位の読者でも訳者解説勉強になった。認知的不協和、覚えた。2022/09/12
yakisamako
4
「ある信念が誤りであることが明白になったあとになって布教活動が増加するという現象」について、近い将来世界に破滅が生じると予知するあるグループに潜入。観察調査し得られた研究結果の記録。著者の一人であるフェスティンガーがその後発表した「認知的不協和理論」の検証的内容であるといえる。世界崩壊を信じ自ら退路を断った後に世界は終わらないという事実に直面したメンバーたちの感情と行動の記録は、ひとつの読み物としても非常に面白かった。もう少しうまくすれば大きな集団になれたのにって見解に納得。2021/11/09
MasakiZACKY
4
心理学者のフェスティンガーとその仲間たちが、実際に宗教グループに観察者を送り込んで、予言がはずれる前後の様子を記録した一冊。認知的不協和理論の話題では必ず言及されるこの件だが、がっつり記録を読むとインパクトある…。なんだか信じられないけど、心霊とかに興味があるだけの普通の人たち。都合よい解釈や、同じ考えの人ばかりでこの加速。参与観察の問題点とかについてもちゃんと付録として記述してあって、あえてそちらから読むのもいいかも。訳者解説もかなり詳しくてありがたい。それにしても、観察者は相当大変だったでしょうに…。2014/07/11
水蛇
3
大学時代に教授に借りた本。どんどん排他的になって孤立していくカルトへの潜入調査。何が恐ろしいってたぶん教祖のキーチ夫人(本名ドロシー・マーティン)には心理学的素養があったとはあんまり思えないこと。断言はできないけど表向きの経歴からはそう考えるのが自然な気がする。なのに見事に周囲を狂わせていくし、なんならこのあとも別のカルトを成功させてる。研究者がひとつずつ解説してくれるようなことを天然でやってのけるひとっているんだよね…2024/07/11
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