出版社内容情報
著作権の作法をまもり、かつ、頻繁に引用される論文を書くには。文系にも理系にも、学生にも教師にも。事例をもとにわかりやすく説明する。
優れた業績をあげることが研究者間の競争を勝ち抜くために必要である。そのためには優れた論文を書かねばならない。本書は優れた論文を書くための「引用の仕方」について具体例を用いてその手順を示す。また、優れた論文とは頻繁に「引用される」論文であるところがら、「引用される」ためのノウハウも明示する。
まえがき
第1部 引用する極意
第1章 学問における引用の役割
1.引用をめぐるトラブル
2.引用と剽窃
3.引用と学問の発展
4.アイディアと表現
5.引用はハウツーであると同時に,人間性が現れる
コラム 盗作の文学史
第2章 引用と著作権法
1.引用の法的な定義と実務上の留意点
2.著作権制度の本質
3.著作権と言論の自由
4.著作権法における引用の4要件
5.最高裁の判例に見る追加2要件
6.普及書における一般的な解説
7.引用は禁止できるか
コラム 文学者の考える「引用」
第3章 引用可能な著作物と引用類似の行為
1.引用可能な著作物
2.複製技術の進展と著作権制度,特に引用
3.引用の諸形態
4.翻案引用と要約引用
5.引用類似の行為:編集・翻案からパロディまで
6.孫引きと伝聞(間接引用)
コラム ウィキペディア以前と以後?
第4章 ウェブ・サイトからの引用
1.デジタル化と著作権
2.ウェブ上の他人の著作物を利用する場合
3.他人の著作物を引用する場合の表記法
4.他人の著作物にリンクを張ることができるか
5.最新技術に関する諸問題
コラム Web2.0と著作権法上の問題点
第5章 ウェブ上の論文発表と権利表明(=引用されやすさ)
1.学術論文とウェブ
2.自己の著作物をウェブ上で発表する場合の法的問題点
3.自己の著作物をウェブ上で発表する場合の表記法
4.初心者への注意
第1部および第2部の引用文献
第2部 出典明示の極意
第6章 共通ルール
1.出典明示の意義
2.ローカル・ルールの優先性
3.3つの共通ルール
4.その他の配慮事項
5.二次的著作物と原著作物
第7章 お勧め出典明示法(テンプレート)と参考資料
1.8つのルール
2.前章との関係
3.和書の具体例
4.洋書の具体例
5.ページの示し方
(参考)『サイエンス』誌にみるルール(自然科学用)
1.共通ルール
2.出典明示法の具体例
FAQs (Frequently Asked Questions)
第3部 引用される極意
第8章 文系の論文 対 理系の論文
1.引用法の視点で
2.知的財産保護の視点で
3.品質保証の視点で
4.先行者 対 後続者
第9章 学術論文の内と外
1.内の論理:研究者の報奨システム
2.内圧,外圧
3.外の論理:知的財産権
4.産業の学術化,学術の産業化
第10章 学術雑誌の表と裏
1.自主的な出版物
2.出版の商業化
3.ジャーナルの電子化
4.オープン・アクセス
5.著作権との折り合い
6.試行錯誤のなかで
第11章 引用されるためのノウハウ
1.引用,表と裏
2.アイデンティティの明示
3.ジャーナルの選択
4.検索のされやすさ
5.ウェブ2.0のなかで
6.二正面作戦のすすめ
第3部の引用文献
付録1 文献引用法の標準化
1.標準化の試み
2.電子ジャーナルの場合
付録2 読書案内
索 引
目次
第1部 引用する極意(学問における引用の役割;引用と著作権法;引用可能な著作物と引用類似の行為 ほか)
第2部 出典明示の極意(共通ルール;お勧め出典明示法(テンプレート)と参考資料)
第3部 引用される極意(文系の論文対理系の論文;学術論文の内と外;学術雑誌の表と裏 ほか)
著者等紹介
林紘一郎[ハヤシコウイチロウ]
1941年、台湾に生まれる。東京大学法学部卒業。経済学博士、博士(法学)。現在、情報セキュリティ大学院大学学長
名和小太郎[ナワコタロウ]
1931年、東京都に生まれる。東京大学理学部卒業。工学博士。現在、情報セキュリティ大学院大学特別研究員。日本経営協会文献賞、日本規格協会文献賞、情報処理学会ベストオーサ賞、大川情報通信基金出版賞、日本社会情報学会文献賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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