内容説明
本書の第一編では、伝統的な公法・私法二元論について、実体法と訴訟法のレベルから、公法・私法を区別する実益があるかを中心に分析を進める。訴訟法レベルでは、近年活発に議論されてきた実質的当事者訴訟の有用性の検討がその中心となる。そして、第二編では、実体法レベルでの行政上の法律関係における私法＝民事法の適用について考察する。伝統的な公法・私法二元論で使用されてきた概念や区別（法の一般原則や法技術的約束を定める民法規定とそれ以外の民事法など）に一応依拠して、問題となる行政上の法律関係の内容・性質・利益状況、民事法を適用した場合の結果の妥当性を考慮して、行政上の法律関係における私法＝民事法の適用のあり方について、これまでの裁判例やそれに対する評釈等を参照しその妥当性を検証しつつ、問題の類型ごとに考察することが本編の目的である。
目次
第１編 公法・私法二元論とその批判（実体法レベルにおける公法・私法二元論に対する批判；訴訟法レベルにおける公法・私法二元論とその批判）
第２編 行政上の法律関係における私法の適用（法の一般原則・法技術的約束・一般的法制度を定める民法規定と行政上の法律関係；法の一般原則等以外の民事法と行政上の法律関係；いわゆる私人の公法行為と民法規定の適用）
