出版社内容情報
漫画家たちは あの戦争を どう伝えてきたのか
原爆、子ども、銃後等のテーマ毎に戦争漫画を収載。手塚治虫、ちばてつや、赤塚不二夫、水木しげる等の巨匠から、『社長 島耕作』の弘兼憲史、『シティハンター』の北条司など第一線の作家、気鋭の若手まで内容も年代も幅広く収録。“こち亀”の秋本治の作品など出版社や掲載誌の枠を超えて収載した奇跡的なシリーズです。今こそ漫画で平和と戦争について考えてみませんか。
激戦地ラバウルで左腕を失った戦場体験のある唯一の現役漫画家・水木しげるが描く本物の戦場/出版社の枠を超え「こち亀」秋本治の作品を収録――
【収録作品】
水木しげる『白い旗』
手塚治虫『大将軍 森へ行く』
楳図かずお『死者の行進』
古谷三敏『寄席芸人伝 噺家戦記 柳亭円治』(脚本協力・あべ善太)
松本零士『戦場交響曲』
比嘉慂『母について』
白土三平『戦争 その恐怖の記録』
秋本治『5人の軍隊』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
81
「漫画家たちの戦争」シリーズ。今巻は、戦場での悲劇や狂気の様を描いた作品が集められている。楳図かずお、白土三平、秋本治が、こういう戦争ものを描いていたのは初めて知った。様々な映画や小説でも見てきた残酷な戦場が、ここにも描かれている。優秀な才能を持った若者たちが戦争で命を落とす話もあったが、戦場で散った映画監督・山中貞雄のことを思い出した。戦争さえ無ければ、この世にもっと素晴らしい作品を生み出しただろうに。2022/02/09
yomineko@怪我しちゃった
65
このシリーズは大変素晴らしく、読み友さんにも大好評です。「硫黄島」の栗林中将が登場。彼の事をとても尊敬しています。戦争では貴重な命が沢山奪われました。あの「沢村賞」の沢村栄治さんの事を初めてこの本で知りました。何と戦死なさっておられたとは😢戦争は全てを台無しにします。才能ある人、例えば農業に従事されている方、料理が上手な方、学業に秀でた方など、生きな2022/03/15
みゃーこ
63
想像を絶する阿鼻叫喚の地獄を淡々と客観的視座に立った描写で描かれた戦争の現実のリアルは文字では表現しきれない、漫画という技法でなければこれは絶対に伝えきれなかったと断定しても過言ではないほどの迫力を持って、その悲惨な状況や当時に追い詰められた時の人間の心理や絶望の実態を白日の下に晒す天才漫画家たちの貴重な作品集である。戦争という非常事態にあっても「人間性」の欠片が垣間見えると、自然、涙が止まらなくなる。戦争と人間の本質をついている名作集。2015/05/24
寺
54
図書館や図書室によくある反戦漫画アンソロジー。とは言え面白い。手塚治虫や水木しげるのはよく見るが、秋本治や楳図かずおの戦争漫画なんて初めて読んだ。古谷三敏の『寄席芸人伝』からのものもある。白土三平のものが一番ショッキングかも知れない。2013/05/19
読特
48
「まことちゃん」の楳図先生。「ダメ親父」の古谷先生。「カムイ伝」の白土先生。「こち亀」の秋本先生。みんなが描いたあの戦争。…平和を願うジャングルの大木の叫び。無理な作戦に従わざるを得ない隊長と少年兵の苦悩。生きてさえいればその才能を発揮できたかもしれない落語家と音楽家。戦線を離脱して無人島で平和に暮らす兵士たちが行きつく運命。…まもなく戦後80年。戦場の現実と正体とは何であったのか?語り継がれることの大切さ。負けたからだけではない。アフガン戦争、イラク戦争とその後の混乱。勝ち戦でも本質は変わらない。2023/06/17