内容説明
「うざいアイツが完全に消えるまで頑張ります」FMブルーウエーブ南條佐奈の番組に、“リカちゃん”から「いじめ予告」のメールが届く。リカちゃんからの心のSOSだと佐奈は気付くが、何もできないまま、今度は“マリン”から手紙が届き、こう書かれていた。「今夜、死のうと思います」。児童文学作家でもある佐奈が書店で偶然見かけた少女・倉沢海と友人・田淵晴香、そして佐奈。番組を通してつながっていく三人。(わたしを見て!わたしに話して!)心で叫びつづける少女たちに、今日も佐奈はラジオから語りかける。きっときみに届くと信じて―。
著者等紹介
吉富多美[ヨシトミタミ]
山形県新庄市生まれ。『ハッピーバースデー』はテレビドラマ、ミュージカル、朗読劇、コミックに、また『ハードル』『HELP!』はコミックにもなっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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itica
24
《児童書》またもやいじめだ。家族の不満の矛先を友人に向けてしまう。自分の思い通りにならない友を憎み陥れようとする。この本にあるような巧妙に仕組まれたいじめは現実にもあるのだろう。主人公の少女のように離婚した母を支え健気に生きる少女でも、信頼していた友に裏切られ、周囲の大人も信じられなくなったなら、生きる気力をなくしてしまうだろう。いじめは当事者だけの問題ではない。地域のみんなで子供たちを守っていかなければならないのだと改めて気づかされる。 2014/01/13
tan
23
夏休みは児童書を読もうと思っているので、まずは「いじめ」がテーマの本から読んでみました。ブラウスを切り裂かれた時点で大問題。本当はここで親なり先生なりに相談すべきですが我慢することによって更にエスカレートしていき…。少し現実離れ的な面もありましたが、ラジオパーソナリティの「相手が必要としている時に自分のできることをする」「あなたの我慢が友達をますます追い込んではいないか」という言葉にぐっときました。思春期のお子さんを持つ親にもぜひ読んでもらいたい作品です。2015/07/27
橙夜(とうや)
14
カフェにあったので読みました。ほんとに久しぶりに本を読めた。自宅なら読めなかっただろうなぁ。いじめを題材にしたお話。生きていく価値‥。そして、小さな女の子が、悪いことをしたら、ごめんなさいをちゃんと言わないととても、悲しいと言うくだりは、もてもよかった。そういう、当たり前だけどできない、しないこと、ありますね。2015/06/07
白雨
11
綺麗なカバーに惹かれて借りました。特別長いというわけでもなく、小説としてはありふれた内容なのですが、心の奥深くに訴えかけられるような、自然と感動を覚える作品でした。考え方の違いから排斥され、理不尽な扱いを受けている人の苦しみと心の傷に、貫かれるような痛みを感じます。ただ、加害者が全て悪いとは言い切れないところが難しい。加害者と被害者、両方の視点からの丁寧な感情描写がこの作品の奥深さであり、魅力なのかなと思います。少女たちの気持ちを理解し、繊細な心を守ろうと取り組む大人たちの姿が素敵でした。2014/11/21
のん
9
子どもが学校図書で借りてきました。 ラジオを通じていろんな人と繋がって、最後はとても良かったです。 子どもからのちょっとしたSOS。些細な事でも大人はきちんと受けとめるべきだと実感。 小中学生の子どもはもちろん、親御さんにも読んでもらいたい1冊です。 海ちゃん!がんばったね。2017/06/28