内容説明
両親とはなれ、12歳の夏休みを、叔母さんの家族といっしょに、湖のコテージで過ごすことになった、パトリシア。ある日、床下にかくされていた、古い懐中時計を見つけたことから、ふしぎなできごとがはじまった―時計のねじを巻くと、そこには、12歳のお母さんがいた!自分と同じ、孤独な少女が―。現実の世界で、自分の気持ちをぶつけたパトリシアは、はじめてお母さんの涙を見た。1988年カナダ図書館協会賞受賞作品。小学校5・6年生から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
更夜
6
タイムトラベルものではあるのですが、親が離婚協議している夏休みの2ヶ月間、湖の近くの親戚の家に預けられる孤独な12歳の少女。親子だから、親戚だからという理由だけで仲良くはなれない、というシビアな現実から目をそらしません。秘密の床下にあった時計で母が自分と同じ年の頃の過去に戻ってしまうのですが、そこでも形の違った親子の対立があり、母を「同じ年の子」として見て初めて理解というものができるという「年の差」の物語。現代のいとこたちが最初は近寄りがたくて、気配りでくたびれてしまうあたりが現実味があって好感。2015/05/03
timeturner
6
面白くて一気読み。自分と違いすぎる母親に反撥し、遠ざかってしまった娘が、その母親の子ども時代にタイムスリップして、悩みや苦しみを目にすることで、ようやく相手を理解したいと考えるようになる。女性読者だったら誰でも共感できそう。逆に言うと男の子が読んでもあまり面白くないかもしれない。2013/11/05
topo
4
華やかな母と違い自分に自信が持てない少女。床下で見つけた古い懐中時計を切っ掛けに動き出す物語。母娘三代に渡る確執とタイムトラベルの異色の組合せは母娘関係に悩んだ人なら共感する点も多いと同時に、ファンタジー色も楽しめる面白い一冊。2020/09/14
naonchi
2
大好きなタイムトラベル物!と大喜びで読み出したが、ピアスンのもう一冊の本と同様、シビアな内容とファンタジーの「併せ技」なかなかどうして優れもの。母子3代に渡る確執。大人が親の立場から読んでも感じることが多いはず。現実は厳しくても、少しの不思議と想像力があればきっと乗り越えられる、という子供達への強く優しいメッセージが伝わってくる。2012/02/06
せら@書庫
0
〈過去登録〉小学生。貰い物。